2021/7/24

【解説】インテルの3兆円買収観測を読み解く「8つのポイント」

NewsPicks 経済記者
「米インテルが、半導体の製造受託事業を手がける米グローバルファウンドリーズ(GF)の買収に向けて協議に入った」との報道が、7月15日に流れた。
グローバルファウンドリーズは、世界のファウンドリ市場(2020年)で4位。
ファウンドリ事業の再参入を決めたインテルにとって、ベストの相手になるだろう。参入機会としてはラストチャンスとも言える。
なぜか。
アメリカ勢同士の買収が実現すれば、半導体受託生産(ファウンドリ)市場でダントツのトップシェア台湾のTSMCと、2位の韓国サムスン電子、3位の台湾UMCの間に「割って入る」ことになり、2〜3位のポジションを狙えるからだ。
インテルは今年3月下旬の説明会で、パトリック・ゲルシンガーCEO(最高経営責任者)が、ファウンドリ事業に「再参入する」と明確な決意表明をしていた。
当面、TSMCの地位が揺らぐことはないだろう。ただ、インテルがグローバルファウンドリーズを買収すれば、サムスンとUMCのシェアを奪いに来るのは確実。2020年に前年比23%増と過去最大の伸び率を記録した「ファウンドリ市場をめぐる争奪戦」が始まる。
この買収案件の背景には、台湾にファウンドリ企業が一極集中する現状に、危機感を募らせるアメリカ政府の思惑もあるだろう。
インテルのグローバルファウンドリーズ買収の狙いと今後の展望について「8つのポイント」に分けて解説していく。
INDEX
  • ① 買収の狙いは?
  • ②「肥沃な大地」めぐる争奪戦
  • ③買収額3兆円は適正か
  • ④アメリカ政府の状況
  • ⑤右手で殴り合い、左手で握る
  • ⑥インテルの「本気度」
  • ⑦買収で二兎を追うインテル
  • ⑧IBM「GF→サムスン」に鞍替え

① 買収の狙いは?