【解説】インテルの3兆円買収観測を読み解く「8つのポイント」
- ① 買収の狙いは?
- ②「肥沃な大地」めぐる争奪戦
- ③買収額3兆円は適正か
- ④アメリカ政府の状況
- ⑤右手で殴り合い、左手で握る
- ⑥インテルの「本気度」
- ⑦買収で二兎を追うインテル
- ⑧IBM「GF→サムスン」に鞍替え
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ペプシがだいぶ前にレストランチェーン(KFC,ピザハットなど)をスピンオフしたのは、それ以外の顧客のレストランと競争することになるため。インテルの場合、この反対でGFの売り上げは落ちざるを得ないでしょう。その分、効率的な製造ノウハウを獲得できればいいのですが…
インテルが、「半導体の受託製造専業メーカー(ファウンドリ)で世界4位のグローバルファウンドリーズ(GF)を買収を検討中」との観測記事が流れました。買収額は約300億ドルで協議しているとのこと。実現すれば、インテルにとって過去最大の買収案件となります。
インテルは3月下旬、ファウンドリ事業に再参入すると発表しました。体力があるうちに、GFを買収することで事業の多角化を図り、再び成長を目指そうとしているのでしょう。世界のファウンドリ市場は、2020年の766億ドルから2025年までに1000億ドル以上へと確実な成長が予想されています。
この市場では、台湾のTSMCが50%以上のシェアを握る巨人。いわば、インテルがTSMCに挑戦状を叩きつけたようなもの。世界の半導体業界では、記事一覧にあるように、“M&Aブーム“が起きています。
が、より大きな視点で俯瞰すると、ファウンドリ市場のシェアを奪い合う、あるいはインテルという単体の企業の成長戦略というだけで語れる話ではありません。成長が止まっているインテルの起死回生の選択となるか、死活問題でもありますが、その背景には、米国政府の、半導体市場の「覇権奪還」に向けた政治的な意図が感じられます。
米国内にTSMCの新工場を誘致すると同時に、インテルにも「同じ土俵に上がれ」と促しているように見えます。米国はTSMCを取り込むことで中国を牽制しようと楔を打ち込んで来た、とも言えるのではないでしょうか。果たして日本はどこへ行くのか….巨額投資競争やシェア争いから完全に脱落したいま、EV用など新分野の半導体、または、ニッチな市場での絶対的優位なポジションづくりしか道は残されていないような気がします。
半導体産業が世界の全てのプラットフォームへと発展していく中で、日本の半導体産業の完全なる敗北は、日本政府と経済産業省の体たらくそのものだ。Japan as No.1, againは国家体制根幹のグレート・リセットによってしかもはや道はない。
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