[ロンドン 21日 ロイター] - 英国は21日、英国の欧州連合(EU)離脱後の英領北アイルランドとの貿易に関して、EUに新たな取り決めを求めた。EU側は英国の要求を受け入れない考えを示した。

ジョンソン英首相が支持した北アイルランド議定書は、英国が国民投票で離脱を決めてから4年後に締結した協定に盛り込まれた。議定書は実質的に、英国本土と英領北アイルランド間のモノの検査を規定。ただ、これは企業にとって負担となっている。

英国側の交渉責任者を務めるデービッド・フロスト氏は、議定書第16条(セーフガード条項)を発動することに正当な理由があるものの、「発動するべき時ではないとの結論に至った」と表明。第16条は、議定書が予想外に有害であることが判明した場合に、双方が適用を免除することができると定めている。

同時に「全ての人々が恩恵を受けるように、北アイルランドに関する取り決めの新たなバランスに向け、交渉を通じてEUとの合意を模索するという、これまでとは異なる方法で前進する機会があると考える」とし、「大きな変化」を生み出すための交渉を求めた。

英国の度重なる要求にもかかわらずEUは議定書の改正を拒否。取り締まりが難しいアイルランドとの国境で、規制基準を満たさないモノがEUの単一市場に入ることを懸念している。

欧州委員会のシェフチョビッチ副委員長は、議定書はジョンソン氏とフロスト氏が交渉した合意だとし、書き換えることはできないと強調。「国際的な法の取り決めを順守することは極めて重要だ」とし、「再交渉には応じない」と明言した。

その上で「きょうの提案も含め、英国とのやり取りを続ける」と発言。「議定書の枠組みの中で、北アイルランドの全コミュニティーの利益になるよう、創造的な解決策を引き続き模索する用意がある」と述べた。