(ブルームバーグ):

動画配信サービスの米ネットフリックスは今年、低調な出足となったが、同社幹部は成長が落ち込むとの懸念を否定し、長期的見通しへの自信をあらためて示した。

同社は決算発表後のコメントで、会員数は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で2020年に急増した後、鈍化に見舞われたが、成長の余地はまだ大きいと指摘。業界は伝統的なテレビからストリーミングサービスへの移行でまだ比較的初期の段階にあるとした。会員をつなぎとめるためビデオゲームなど新たなサービスも提供する方針だ。

スペンサー・ニューマン最高財務責任者(CFO)はフィデリティ・マネジメントのニディ・グプタ氏との事前収録インタビューで、「全体的にみて事業は好調だ」と語った。

発表資料によると、7-9月(第3四半期)に新規登録の有料会員数は350万人となる見込みで、アナリスト予想の586万人を下回った。4-6月(第2四半期)は154万人となり、アナリスト予想(112万人)と自社見通し(100万人)をともに上回った。

決算発表後、ネットフリックスの株価は時間外取引で6.6%下げる場面があったが、その後は投資家が信頼感を回復する中で一時1%を超える上げとなった。

上期の新規会員数は約550万人と、事業を展開する国が現在の半分にも満たなかった13年上期以来の低調さとなった。会員数は1年前は記録的な伸びを示していた。20年上期にはコロナ禍での巣ごもり需要で新規有料会員が2600万人近くに達した。パンデミックの状況が落ち着く中で、今年に入ってテレビ視聴が平均して1年前を下回っていると同社は指摘した。

ネットフリックスは20日付の株主宛て書簡で「パンデミックで当社の成長が例外的に不安定となり、前年同期との比較がゆがめられた」と説明した。

下期に配信される新シリーズはより強力なラインアップとなる予定で、新規会員獲得に寄与する可能性がある。パンデミック入りしてから最初の数カ月間で番組制作に遅れが生じたこともあり、上期は大型番組が比較的少なかった。今後は人気番組の「ペーパー・ハウス」や「ウィッチャー」の新シリーズなどが配信される予定だ。

4-6月期を地域別で見ると、中南米とアジア太平洋が新規会員数の大半を占めた。一方、米国とカナダの会員数は43万人の純減と、2年ぶりに落ち込んだ。

同社は成長の新たな原動力としてビデオゲームに着目している。1年以内にゲームをストリーミングサービスに追加料金なしで取り入れる方針で、同社の最初のゲームはモバイル端末向けとなる。最初はテストとして導入するが、全く新しいタイプの娯楽分野に進出することになる。

ネットフリックスがビデオゲーム進出-映画、TV以外の分野参入 (2)

4-6月の売上高は19%増の73億4000万ドル(約8060億円)と、アナリスト予想平均の73億2000万ドルをわずかに上回った。一方、1株利益は2.97ドルで、市場予想(3.14ドル)に届かなかった。7-9月は2.55ドルを見込んでおり、市場予想を上回った。売上高見通しは市場予想(74億8000万ドル)と一致した。

同社は自社株購入プログラムを4-6月に開始し、今後も自社株買いを続ける方針を示唆した。

原題:Netflix Promises Growth Ahead After Languid Start to Year (3)、Netflix Stokes Growth Concerns With Disappointing Forecast (2)(抜粋)

(株価が上昇に転じたことやゲーム分野参入に関する説明などを追加、全面的に書き換え更新します)

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