[チューリヒ 20日 ロイター] - スイスの金融大手UBSが20日発表した第2・四半期決算は、純利益が前年同期比62.8%増の20億1000万ドルと市場予想を大幅に上回った。堅調な市場を背景に富裕層向け資産運用事業が好調だった。

同行がまとめたアナリスト20人による純利益予想は13億4000万ドルだった。

ラルフ・ハマーズ最高経営責任者(CEO)は発表文で「第2・四半期の伸びはパンデミック(世界的大流行)期間を通じてわれわれが築き、強化してきた(顧客との)関係に支えられた」と説明。全ての事業部門と地域が成長に寄与したとし、「戦略的選択・構想が報われた」と指摘した。

手数料収入につながる顧客資金の新たな流入額は250億ドル。力強い市場と相まって、グローバル・ウェルス・マネジメント事業の運用資産額は前期比4%増の3兆2000億ドルとなった。

富裕層および超富裕層の顧客取引も引き続き堅調で、主力事業の税引き前利益は47%増。融資の拡大も金利低下による純金利収入の押し下げ効果を相殺するのに寄与した。

UBS株は4.6%上昇。各部門で収入が予想を上回ったことや「十分なコスト抑制」(ジェフリーズ)が好感された。

昨年11月に就任したハマーズCEOは、富裕層の下部の取り込みを図るため、デジタル化を推進。ロイターの報道によると、UBSは2020年5月に投入した新たなオンラインプラットフォームに向こう1年間で300億ドルの資金が流入する可能性があるとみている。

第2・四半期は、このプラットフォームへの資金流入が続いた。6月初旬以降の流入額は5億ドルで、投資された資産は42億ドルに達した。

一方、グローバル・マーケット・トレーディング事業の収入は14%減少。第3・四半期もトレーディング量の減少が続く可能性があるという。

前年同期は前例のないボラティリティーの高まりで、金融業界のトレーディング量が記録的な高水準に達していた。

同行は「2021年第3・四半期の収入は、2021年第2・四半期との比較で顧客の活動水準が落ちるなど、季節要因の影響を受ける見通しだ」と表明した。

助言業務の収入は急増。マーケット部門の利益減少を補った。投資銀行部門の税引き前利益は9%増加した。第2・四半期の合併・買収(M&A)の助言業務の収入は3倍以上に増加。資本市場は35%増だった。

UBSは4月、米投資会社アルケゴスの破綻で7億7400万ドルの予想外の費用を計上。今回は、従来の見通し通り、追加で8700万ドルのアルケゴス絡みのトレーディング損失を計上した。

スイスの国内コーポレート&リテール・バンキング部門は、税引き前利益が倍増。新型コロナ関連の規制が国内で緩和され、経済活動が回復したことが寄与した。