[東京 20日 ロイター] - トヨタ自動車<7203.T>は20日、100%子会社のトヨタモビリティ東京が直営する販売店「レクサス高輪」(東京・港)での車検で不正があったと発表した。ヘッドライトの明るさやパーキングブレーキの利きなど一部の検査項目で基準を満たす値に書き換えられていたほか、排ガスの成分やスピードメーターの精度に関する検査を実施しなかった。

不正のあった対象台数は565台で、不正が確認された過去2年間に検査した全車両台数の約3分の1に相当する。対象車両の顧客には該当項目の再検査を無償で行う。現時点で不正車検による事故や不具合は確認されていない。対象車両は無償で該当項目を再検査する。

今回の不正は、国土交通省関東運輸局が6月17日に実施した通常監査で5項目の追加調査が行われたことによって発覚。不正に関与したのは検査員4人。車検不正は道路運送車両法違反となる。

トヨタモビリティ東京の関島誠一社長は同日の会見で陳謝し、不正が起きた原因を2つ挙げた。1つは増加する仕事量に対してエンジニアを中心に人員が不足し、設備の増強が追いついておらず、慢性的に負荷が高い状況が続いていたこと。2つ目は車両の使い方や状態などにより検査の作業時間が変わるにもかかわらず、決められた時間内に車検を終わらせることが目的になっていたことだ、と説明した。

不正車検を巡っては、ことし3月下旬にも愛知県内の販売店で発覚。2018年12月以降から約2年間に受け付けた約5200台の車検において検査の一部未実施が判明し、トヨタは4月から直営以外の全販売店で自主点検を行っていた。

会見に同席したトヨタの佐藤康彦・国内販売事業本部本部長は「ネッツトヨタ愛知は45分という短時間で車検を仕上げなければならない。今回のレクサス高輪では2時間を頂いている」と説明。「この時間が目的になっていたことが共通点」と述べ、全国販売店でも同じようなことが起きていないかなど調査を進め、信頼回復を目指すとした。