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ワクチンをめぐる国際政治について、インタビューいただいた内容を記事にまとめていただきました。変異株、3回目のブースター接種など次から次へと新しい動きが出てきますが、現時点で主な論点はカバーいただいたかと思います。熾烈な米中のワクチン外交については、去年のワクチン国際共同治験から前哨戦が始まっていました。いま、G7と豪印を主軸とする民主主義勢力と、中国、どちらの生産したワクチンを先に世界中に届けるかの大競争が始まっています。東アジアをはじめ新興国や途上国は、その最前線です。安全で有効性の高いワクチンの分配は、自由で開かれた、より良い多国間主義を再興するためにも重要です。ウイルスは気まぐれに変異していきますから、世界中で接種を加速化しなければ、パンデミックは終わりません。

魚や生鮮食品をフレッシュに届けるコールドチェーン。この整備支援は、日本ならではの強みです。政府は、ワクチン接種体制を構築する「ラスト・ワン・マイル支援」として、冷蔵・冷凍設備等の機材をインドや東南アジア諸国などに供与してきました。さらに台湾、ベトナムからインド太平洋諸国へ、メイド・イン・ジャパンのアストラゼネカ社ワクチンを提供していくと発表しています。これは各国に希望を与えるでしょうし、この地域での感染が収まることは日本経済再生のためにも不可欠です。インドネシアの感染爆発は、日本にとって他人事ではありません。

これからも折を見てコメントしていければと思います。
これまで、全世界でおよそ10億回分のワクチンが生産されています。2回接種する必要があるワクチンもあり、全世界に行き渡るには、ほど遠い量です。
 これまでワクチンの生産量が多い国は、
中国 2億3千万回分 (シノバック、シノファーム)
米国 1億6千万回分 (ファイザー、モデルナ、J&J)
インド 1億5千万回分 (アストラゼネカ)
EU  1億3千万回分  (アストラゼネカ、ファイザー)
英国 3千万回分   (アストラゼネカ)
この内、米国と英国はほぼ全て自国で消費、
中国、インド、EUは、およそ半分を輸出に回しています。
 つまり、ワクチンを自国生産できていない国が輸入できる分として世界に放出されているのは、2億7千万回分程度です(そのうち2億回分程度は中国製かインド製)。
https://www.economist.com/international/2021/03/31/almost-one-billion-doses-of-covid-19-vaccines-have-been-produced

 国民の50%以上が2回接種できている国は30カ国程度ですが、米国、カナダ、スペイン、チリを除けば、イスラエルやUAEといった人口1千万人以下の国ばかりです。
 EU諸国は、2回接種した国民は、およそ40%前後です。
 国民の20%以上が2回接種した国は、80カ国程度で、日本もようやく20%を超えたところです。
 2回接種、といっても、ファイザーやモデルナとシノバックでは、効果が違います。EUや米国からわずかに輸出されている分のファイザーやモデルナを確保できたイスラエルや日本、シンガポールは、ワクチン輸入国の中では非常に恵まれています。
https://edition.cnn.com/interactive/2021/health/global-covid-vaccinations/
 今のワクチン輸入国のトレンドは、とにかくファイザーかモデルナを輸入したい、ということになっています。シノバック中心でやってきたインドネシアやタイでも不満が高まり、モデルナに切り替えようとしていますが、実際にいつ入手できるかわからず、政府への不満となっています。
 アフリカ諸国の多くやミャンマーのように、シノバックすら国民に行き渡らない、という国の方が世界的には多数です。
現状の感染爆発状況を見るに「シノバック、シノファームの中国製ワクチン」が提供されてきた東南アジアや南米諸国が目立ちます。

結果論ではありますが、友好を演出するためのワクチン提供が、逆に憎悪を煽らないかと心配になります。

また、新型コロナは武漢の研究所から流出した疑念が再燃してきており、西側諸国と中国の対立が激化するリスクが高まってきていると感じています。

こういった対立が深まると、状況はより混乱していき、ただでさえコロナ禍で苦しんでいる市井の人々の困窮が深まるのではないかと懸念しています。
大国が積極的に進める「ワクチン外交」の見取り図について、API主任研究員の相良祥之さんに解説いただきました。日本がアストラゼネカ製ワクチンを供給している本当に意味や、「追加接種」がもたらす影響など、興味深いポイントを知ることができたインタビューでした。
同一の製造会社のワクチンを摂取するのではなく、シノワクチンを摂取した人にはファイザーやモデルナの追加接種でもいいとは。

今後のことも考えると、日本製のワクチンが望まれますね。
中国とそれに対抗する先進国という視点でみると、足元で展開されているワクチン供給を巡る動きは、インフラ支援で見られてきた構図と相似です。途上国、新興国としては、手が届くのであれば先進国の質の高い(その分割高な)インフラ支援を得たいが、それだけで間に合わない現実もあり、質は劣るが初期費用が少なくて済む、かつ物量に勝る中国の支援を得るしかない、という形です。

そして、こうした国からすれば、中国と先進国が支援を競いあうことで自国にとっての選択肢が増えるのが最も望ましい、という点でも似ているかもしれません。

なお、中国の「ワクチン外交」における供給先等のデータは、本記事の最初の地図の出所にある通り、Bridge Consultingのウェブサイトがよくまとまっています。
https://bridgebeijing.com/our-publications/our-publications-1/china-covid-19-vaccines-tracker/
そしてやはり加えて供給がダントツ足りておらず、現在サブサハラアフリカでの接種率は1%以下にとどまっています。WHOなどが主導で進めるワクチンの共同購入プログラムCOVAXでは6億回分を供給する目標を立てていますが、まだまだな現状。2〜8℃の保管でOKなバイラルベクターのAstraZenecaや、中国産のSinovacなどが主です。
大陸の中で最も接種が進んでいる南アフリカですら、200万人/5,900万人と接種率4%弱。ただ、こちら50万人分はJ&J(1回接種でOK、2〜8℃キープでOK)、残りはファイザー製になっています。個人的には、ブースターショットの前に最もリスクの高いサブサハラアフリカ諸国へのワクチン供給が急務だと感じます。
>ただ、アフリカなどでボトルネックになっているのが、ワクチンサプライチェーンの問題です。
中国のマスク外交〜ワクチン外交といった影響力拡大(懐柔)政策と、API(医薬品原薬)のサプライチェーンの問題ですね。
現在、中印にジェネリックAPI製造が集中していることが問題になっており、欧州はこの点について、貿易紛争、サイバー攻撃、ストックパイル、輸出規制、適正製造規範(GMP)違反などに対する脆弱性を有するのでサプライチェーンの多様化などが必要としています。

また、中国のマスク外交やワクチン外交が(欧米民主主義国にとって)脅威のように語られることもありますが、実情としてはマスクの品質や過剰共有、ワクチンについてはベトナムような態度の国もあり、影響力を伸長したというより元々結びつきが強いところが「恩恵」を受けただけで、必ずしも成功しているわけではない(一帯一路を通じたインフラ投資の方が有効だったが、近年資金不足ですし...)というのが現状だと思っています。
保健安全保障の専門家となりつつある相良さんのインタビュー。ワクチンの話はもう一歩踏み込んでサプライチェーン、特に原薬の問題も議論するとさらに面白くなるような気がする。
この連載について
各国がコロナからの出口を模索し始めた2021年。国際政治の世界はめまぐるしく動いている。本特集では2021年の国際政治における「メイン・イシュー」を総まとめ。いま、世界で起きていることを有識者の言葉とともに読み解いていく。