(ブルームバーグ): 中国人民銀行(中央銀行)は16日、デジタル人民元の実証実験での取引額が345億元(約5880億円)に達したことを明らかにした。 

人民銀が公表したデジタル人民元の研究開発に関する白書によれば、中国全土で2080万人余りがデジタル人民元を保持するバーチャルウォレットを開設し、合計で7070万件を超える取引が行われた。人民銀はシステムの試験と開発は続けるが、正式導入に向けたスケジュールは定めないと説明した。

デジタル人民元の設計と機能に関する研究開発は基本的に完了し、今後は「対象とする実験とシナリオの範囲をさらに拡大する」としている。2019年遅くに始まった実験は11都市・省に拡大され、人々の理解を深めたという。

白書はデジタル人民元について、一般人の間で流通するリテール型の中央銀行デジタル通貨(CBDC)であり、大規模取引を手掛ける商業銀行などの機関向けに発行するホールセール型CBDCではないと解説。

越境取引への利用は技術的に可能だが、今のところ国内のリテール向けに主に使われることになるとしている。

人民銀は国外のニーズに基づき越境実験の実施を探り、その過程においては他国の通貨主権を尊重すると表明した。

原題:China’s Digital Yuan Trial Reaches $5.3 Billion in Transactions(抜粋)

(詳細を追加して更新します)

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