2021/7/17

【突撃】NewsPicks記者、freee社長に大苦戦

NewsPicks 編集部 映像ディレクター
NewsPicks編集部による番組『デューデリだん!』は、NewsPicksの記者たちが、噂の企業を取材し、経営トップにインタビューする過程を可視化したコンテンツです。
今回の配信で取り上げる企業は「freee株式会社」です。この記事では、番組の楽しみ方を少しだけ紹介します。
INDEX
  • 創業10年目の「変貌」
  • 市場に最も“愛される”理由
  • 群雄割拠、会計ソフト戦国時代
  • もはや、クラウド会計だけではない
  • 無駄なことは語らない
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創業10年目の「変貌」

今回、デューデリする企業は「freee株式会社」です。
グーグル出身の佐々木大輔CEO(最高経営責任者)が2012年に創業し、クラウド会計ソフトを運営。
パッケージ商品が主流だった会計ソフト業界にクラウド型を取り入れ、日本で革命を起こしました。
freeeといえば、徹底したプロダクトの磨き込みによって、会計や経理、その他の業務の自動化・効率化を進めているのが特徴です。
顧客数と単価を増やし続け、2019年12月、満を持して東証マザーズへ上場。以降、時価総額も着々と伸ばし今では5500億円、東証マザーズ2位につけています。
「10年目を迎えるfreeeが大きく変わろうとしている。その実態を調べることで、日本のSaaSビジネスの現状を知ることができるかもしれない。」と提案したのは岡ゆづは記者。
谷口健デスクと編集部インターン(役)の藤村聖子さん(本業は役者)を交えてリサーチを開始。3人の会話を聞いていると、日本のSaaSビジネスの現状が少しずつ見えてきます。

市場に最も“愛される”理由

まずはfreeeのビジネスモデルと業績のリサーチから。
freeeの決算資料を見ると、売上高68億円、27億円の赤字。売上高は順当に増えているものの、「この業績で時価総額5500億円は異常ではないか」と岡記者が指摘します。
赤字が多い新興企業の株価水準を図るときに用いるのが、PSR。
Price to Sales Ratio(株価売上高倍率)=時価総額 ÷ 年間売上高
時価総額が年間売上高の何倍かを示すこの数字を谷口デスクが算出すると、freeeは他の主要SaaS企業に比べてもPSRが圧倒的に高いことがわかります。
なぜ、freeeは市場からの期待値が高いのか。
この疑問を解消をすべく、3人はさらに調査を進めます。SaaS企業の専門アナリストにも取材。
そのヒントは、ARR(年間経常収益)の成長率にありました。
SaaSビジネスを理解する上で、絶対に外せない「ARR」。番組では詳しく解説します。

群雄割拠、会計ソフト戦国時代

順調に見えるfreeeですが、会計ソフトの業界地図を眺めると、多くのプレイヤーが存在します。
すでに大企業に浸透しているORACLE、SAP、富士通、ワークスアプリケーションズ。さらに、中小企業では最大手TKC、ミロク情報サービス、オービック、弥生会計などの存在も。
freeeは、その牙城をどこまで崩すことができるのでしょうか?
また、freeeを語る上で忘れてはいけないのが「マネーフォワード」。
設立日も業績も似通った両者の間には、並々ならぬ因縁も。過去に、訴訟まで発展した揉め事もあるようです。
佐々木CEOは、訴訟まで発展した仲のマネーフォワードのことをどう考えているのか?これも気になるところです。

もはや、クラウド会計だけではない

「統合型の経営プラットフォーム(Enterprise Resources Planning)を目指す」
先日、創業10年を迎えたfreeeは、これまでの会計ソフトからERPシステムに形を変えていく新たな戦略を打ち出しました。
ただの会計ソフトから、財務会計、生産管理、販売管理といった企業の基幹業務を一体でサポートする業務システムへの変貌。
freeeが統合型の経営プラットフォームになるために、佐々木社長は、どのようなロードマップが描かれているのだろうか。記者たちの関心はそこに集中します。
2021年3月、法務契約業務を強化するために、電子契約サービス「NINJA SIGN」を運営するサイトビジット社を買収。
また、事業用クレジットカードを開始。利用限度額は3000万円に設定され、戦略発表会でも注目が集まりました。
「融資事業へ参入するという意図はない。あくまで企業の資金繰り改善が目的」(佐々木CEO、戦略発表会にて)
現状では銀行やカード会社に遠慮している発言だが、将来的には銀行と同じように融資する役割を担うかもしれない。
谷口デスクは、このクレジットカード事業にfreeeの将来像を見出しているようです。
freeeに登録している会計データで与信されるということは、真面目に事業に取り組むユーザーにとっては、かなりありがたいサービスです。
freeeにとっても金利が新たな収入源となり、この事業は確実に伸びていくに違いない。佐々木CEOも期待しているはずです。
「なかなか答えないと思うけど、将来は銀行になろうとしているのか。インタビューで確認してきてね。」
freeeの融資事業への参入シナリオを重視する谷口デスクは、インタビューを担当する岡記者に宿題を出します。
数時間にわたる事前のリサーチを経て、記者たち3人は、佐々木CEOに聞くべきテーマを3つに絞ります。
  1. 高成長を維持してきたfreeeは、今後もこの成長曲線をどう維持していくのか。
  2. 会計ソフトからの脱却は、本当に実現できるのか。
  3. 数多の競合に勝ち切るために、具体的な戦略が描けているか。

無駄なことは語らない

投資ファンドやIT企業のCFO(最高財務責任者)を経て、グーグルに移籍。その後、freeeを創業した佐々木CEO。
過去に4度もインタビューをした谷口デスクは「佐々木さんは、なかなか掴めない人」と評します。金融出身者が持つ独特の雰囲気、低体温で多くを語らないタイプ。
「そんな経営者の本音を引き出すには、具体的な質問を、角度を変えて、何度もすることが大事ですよ。」
谷口デスクからアドバイスを受け、インタビューを担当する岡記者は、freeeの本社がある五反田に向かいます。
 「先日の新戦略発表会の反響はいかがでしたか?」
佐々木 「(数秒間の無言のあと)うーん。ちょっと、わからないですね」
本音を引き出すには、かなり手強い相手。
見事に出鼻を挫かれた岡記者は、それでもめげずに、少しずつ場を温めながら、手を替え品を替え、攻めていきます。
相変わらず、体温は低いところで一定している佐々木CEOの言葉が、少しずつ熱を帯びてきたのを感じ始めた頃、岡記者は「freeeのこれから」について核心を突く質問をたたみかけます。
「今の高成長率、どうやって維持していくのですか?」
「まだ赤字ですが、黒字化はいつになりますか?」
「今、freeeにとって最大の競合・脅威はどこですか?」
「将来は、銀行の役割も担うつもりではないですか?」
取材を終えた岡記者は、これまでに行ったインタビューの中でも、指折りの難易度だったと振り返ります。
freeeは、なぜ市場から最も愛される企業なのか。今後、どのような成長可能性を秘めていて、何が課題なのか。
今夜10時から配信の『デューデリだん!』を観れば、その理由がわかるはずです。
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『デューデリだん!』は、今後も隔週ペースで土曜夜10時に配信していきます。
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