これも、昨日書いた「just in timeからjust in case」への流れの一環かと想像します。今年2月の記事によると、GFは半導体製造で世界5位、市場シェアは7%となっています。(source: Counterpoints Research via semiwiki.com)アメリカおよびインテルの自国での半導体調達能力強化という流れの一環かな、と。
Intel is a leading digital chipmaker, focused on the design and manufacturing of microprocessors for the global personal computer and data center markets.
(プロセス開発キット)も作り直しだ。
ただ、GFから見ると、半導体に全く興味を示さなかった前トランプ政権がアルバニーのR&Dセンターをめちゃくちゃにして、ドイツのドレスデンに拠点を移したという経緯がある。政権交代によってアルバニーの近くのマルタに本社を移し、米国でのビジネスに再び力を注ぐ意図を明らかにしたが、連邦政府はGFを信用するだろうか?
そこに来てIntelがGFを買うというニュースだ。加えて、Intelの新CEOはTSMCに対する連邦政府のインセンティブに反対しているというニュースもある。Intel、GF、そして連邦政府の力関係がどうなるのか、今の段階では何とも言えないが、intelと政府との関係は今のところ良好であり、IntelのGF買収話しには政府が絡んでいることは確実だろう。
その後、AMDは世界最先端のプロセス技術と生産体制を持つTSMCと組んで一気にシェアを伸ばし、自社技術と生産に拘って最先端の量産に苦戦したインテルが今やGF買収を検討とは。半導体業界、諸行無常感がすごい。
インテルもAMDも大事なパートナーなので、安定供給に向けた動きは歓迎。
https://on.wsj.com/3wJKL1J
マイナスは、Intelの経営資源分配と、GFの競争力。
IntelはTSMCやSamsungと比較して微細化に遅れている。個人的に気にしているのは、何nmなのかという部分より、まだEUV(一番新しい製造装置)を使って量産できていないこと。使いこなせるようになるにはTSMCやSamsungなども一定時間がかかり、まだそこに行けていない。
ここの遅れが、昨年来Intelが大規模にファンドリーを使う検討の背景だった。結局、新CEOのゲルシンガー氏がその方向ではなくIDM 2.0と銘打って、ファンドリーではなく自社でやる方針を3月に発表(①、②)。ただ最近になってTSMCを活用するかもという報道が出ていて(③)、このブレが気になっている。
そしてGFはファンドリー業界で大手だが、TSMCには圧倒的に差をつけられているし、Samsungに対しても同様だろう。
プラスは、Intelもファンドリービジネスをやろうとしてきたり多少やっていると思うが、実質的に成功していない。その営業チャネルなど含めて、一定GFは持っているはず。あとはIntelはそうは言いながら儲かっているので、GFの投資余力が一気に増える。
でも、結局は経営として何にフォーカスするかが一番だと思う。その意味で、経営の論点をいろいろ広げたり、またそれがトップの競争力の企業ではないという部分は、個人的にはマイナスの方が大きいのではないかと感じる。
①https://newspicks.com/news/5709452
②https://newspicks.com/news/5740329
③https://newspicks.com/news/5985273