2021/7/16

【渦中】人権問題への対応迫られるユニクロが、語ったこと

冨岡 久美子

NewsPicks 記者

中国の新疆ウイグル自治区における人権問題をきっかけに、欧米を中心に「人権デューデリジェンス」に対する意識が高まっている。

人権デューデリジェンスとは、企業活動を通じて人権に及ぼす負のリスクを評価し、検証、対処、情報開示を行うこと。

世界中の企業が直面するこの問題に、最前線で矢面に立たされているのが、日本の大手アパレルチェーン「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングだ。

4月に行われた中間決算会見では、新疆ウイグル自治区の綿花の使用に関する質問に対して、柳井正CEO（最高経営責任者）が「政治的なことなのでノーコメント」と発言。国際的な批判を浴びた。

その後、米国によるユニクロのメンズTシャツの輸入差し止めや、フランス検察によるユニクロ現地法人の捜査などが報道によって明らかになった。

そのファストリが7月15日、2021年8月期第3四半期決算の会見を開いた。

ファストリは人権問題にどう応えたのか。

【図解】いまさら聞けない「ウイグル問題」って何だ？

NewsPicks編集部

2021年05月31日

NewsPicksでは、5月末にサプライチェーンにおける人権問題について詳報してきた。その後の世界の動きとファストリの対応をアップデートする。

コメント

注目のコメント

• 中野 香織

  Kaori Nakano Co.,Ltd. イギリス文化を起点に、ダンディズム史、ファッション史、ラグジュアリー領域へと研究対象を広げている

  ・2021年07月16日

  日本が世界のなかでもいかに人権意識が低いのか、あらためてよくわかる記事でした。「何が問題なのかわからない」「素材の産地のことまではわからない」と言っているかぎり、永久に日本は人権後進国でしょう。
  
  「文化の盗用」問題も根は同じです。「盗用」する側がされる側を尊重しないからトラブルが起きる。起きても「何が問題なのかわからない」「そんなつもりではなかった」という釈明が出てきてしまう。
  
  このあたりの意識が日本全体で高くならなければ、ジェンダーギャップの問題も解決しないのでは。
• 千葉 知世

  大阪公立大学 准教授

  ・2021年07月16日

  日本企業は、欧米のグローバル企業のように、人権系の国際NGOなど市民社会による監視にさらされてこなかったので、人権問題によるビジネスインパクトへの意識が高くないように感じます。
  人権対応は企業にとってコストでしょうが、面倒事と捉えて最低限の対応をしていると、じきにグローバル市場からはじき出されるでしょう。環境分野でも同じです。CSV戦略として捉えて競争力強化につなげてほしいです。
  「槍玉にあげられた」形ではありますが、その意味で、世界のファストリの腕の見せ所ではないでしょうか。がんばれユニクロ！
• 羽生田 慶介

  オウルズコンサルティンググループ 代表取締役CEO

  ・2021年07月16日

  記事中でもコメントしましたが、ファーストリテイリングはこれまで人権デューディリジェンスは実施しており、NGOからの評価も高かった「優等生」とされてきました。
  
  にも拘らずこれだけ問題視されるようになったのは、やはりファストファッションの代表としての糾弾という意味合いもあると思います。
  この問題から明らかになってきたのは、これまでの人権デューディリジェンスのやり方だけでは人権リスクを把握・対応しきれないという事実です。
  テクノロジーの力も使いながら「人権デューディリジェンス2.0」を国際的に検討するステージになってきたと言えます。