(ブルームバーグ): 日産自動車の内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は、英国で新設する電気自動車(EV)の生産拠点に続き、他の主要市場でもEV関連の投資を検討していく考えを示した。

内田社長は9日のブルームバーグテレビジョンとの英語でのインタビューで、中国・遠景科技集団(エンビジョングループ)傘下のエンビジョンAESCなどと新設する英サンダーランドの車載電池工場を含めた生産拠点は「われわれの電動化戦略の始まり」とし、同様の投資について「他の主要市場でも検討していく」と語った。

脱炭素化の流れを受け、自動車各社はEVを含めた電動車開発を加速している。世界初の量産EV「リーフ」を2010年に市場投入した日産は、主要市場である日本、米国、中国、欧州で投入する新型車を30年代の早期から全て電動車にする目標を掲げる。

「電動化はカーボンニュートラルを実現するための重要な一歩であり、われわれには10年にわたって蓄積された技術がある」と内田氏は強調した。

ブルームバーグNEFの6月のリポートによると、道路輸送セクターにおける50年の二酸化炭素排出量の実質ゼロ達成には、排出ガスを出さないEVなどのゼロエミッション車が30年までに世界自動車販売台数のほぼ60%を占める必要がある。欧州連合(EU)は35年以降の域内の新車を、ゼロエミッション車に全面的に切り替えることを提案する方針。

電動化の取り組みと並んで、自動車業界では世界的な半導体不足による影響にも注目が集まっている。日産も5月の決算発表で、今期(22年3月期)に約50万台の生産に影響するとの見通しを明らかにした。内田社長はその見通しを繰り返した上で、減産分の半分以上を下期に挽回できると想定していると語った。

内田氏は、顧客への影響を最小にするため在庫の水準や生産計画の調整を進めてきたとし、半導体不足は「自動車業界にとっていい教訓になった」と指摘。今後も同様の事態は起こり得るとし、不測の事態を避けるための計画策定をパートナー企業と行っていると語った。

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