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2018年秋の東京大学経友会総会における白川さんの講演から。

中央銀行の役割は「通貨の安定」ないし「安定的な金融環境の実現」である。

「日本の低成長の問題を議論するときに、過去20年間で日本で起きた最も大きな変化である急速な労働人口の減少を抜きにした理論モデルに基づいて議論してもほとんど意味をなさない」と説き、重ねて次のような現状認識のズレを指摘。
「経済学者がデフレという名前で心配する事態は、1930年代に内外で経験したような、僅か数年間に20-30%も物価が下落する事態である。このような状況の中で、経済活動は急激かつ大幅に縮小した。一方、日本のデフレは15年間で4%弱、年率にすると0.3%弱の物価の下落であった。1930年代のデフレがなぜ生じたかと言うと、最大の理由は金融システムが崩壊するような事態に陥ったことも求められる。その下で、金融不安、経済活動の収縮、物価の下落が生じ、それがさらにスパイラル的に拡大した。エコノミストの言葉を借りると、デフレ・スパイラルが生じた。他方、1990年代後半以降の日本ではデフレ・スパイラルは生じなかった。その最大の理由は金融システムの崩壊という事態だけは何とか回避できたからである。私にとってデフレを防ぐとは、金融システムの安定を守り抜くということとほぼ同義である」
「重要なことはこのような状況の下で労働力を増やす努力と、生産性を高めていく努力である。言い換えると、日本が直面する問題は物価が上がっても解決しない。それにもかかわらず、(絶対的な物価目標を2%にすべきだというような・・筆者㊟)「デフレ脱却が日本経済の直面する最大の課題である」ということがほぼ常套句のように言われてきた」
黒田日銀による無謀な金融と、それに伴う安倍政権の無節操な財政拡張は、GDPの定義通り僅かな経済成長を「演出」した。しかし、その成長は当然持続的ではなく、将来への高いツケを残した。しかも、「デフレは貨幣的現象である」とかいい加減なことを言って、やたらカネをばら撒いたにもかかわらず、物価も上がっていない。単に株や金の価格が上がるバブル、すなわち、将来必ず崩壊する経済的不均衡を生んだだけである。
「白川氏は、サマーズ元米財務長官による「インフレを押し上げようとした日銀の広範囲の努力はまったくの失敗だった。中央銀行が金融政策でいつでもインフレ率を定められるわけではない」という最近の発言を紹介」

「白川氏「この環境下で私が懸念しているのはインフレではなく、生産性の低下だ。アグレッシブな財政政策と組み合わせた金融緩和の長期化が、生産性の伸びを低下させてしまうことを心配している」」「もし金融緩和が長期化すれば、『前借り需要』は必然的に減ってくる。すると生産的な投資の比率も減ってくるだろう。最後にはいわゆるゾンビ企業が生き続けるようになり、生産性の伸びはますます引き下げられてしまう」

私は白川さんのこの考えにはあまり同意できない。白川さんとの違いは、私はショックで資本蓄積が不足して、それが追いついていないことも生産性低下の原因であり、これが解消されて生産性が上がれば賃金も上がりより高い成長経路を辿れるようになると考えていることだ。

「(量的緩和の拡大によって生じる)中央銀行の巨大なバランスシートそのものが経済を刺激するとは信じていない。ただし量的緩和は金融システムを安定させる手段としては有効だ」

これには同意している。

「むしろ経済が上向かないと、「金融緩和や財政出動がまだまだ足りない」とか、「異次元緩和をやらなければ、経済はもっとひどいことになっていた」という声である。このように「トコトン行けるところまで行け」派が多いから、日本のマクロ政策はいまもって論理的、科学的に修正ができないのである」

以上は、記者のコメントであり、そういうことはあると思う。残念ながら、白川さんが経済成長に対して金融政策にできることはあまりなく、ご著者ではマイナス金利に否定的である。しかし、上記のように私は金融政策は日本ではまだ重要であり、マイナス金利深掘りを試す価値はあると思っている。