ファブレス企業とは?OEMと何が違う?アップル、キーエンスなど成功事例も解説
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生産性と歩留まりまで考慮した設計がファブレスのかなめ。
ファブレスでは旧モデルの生産で得た知見を新モデルの設計へもれなく反映することで完成度を高めていく。初期のiPhoneを分解すれば一目瞭然です。
垂直統合でも事情は同じはずですが、不足する設計力を現場の改善力である程度カバーでき、それが習慣化している企業もある。歩留まりの悪さを現場へ押し付ける企業に、ファブレスは難しいです。大変よくまとめられた真面目な記事だと思います。噛みしめるように読ませていただきました。この件は、技術経営では頻繁に話題になります。ファブレスと製造委託、さらにはオープン・イノベーションは同じグループで、これらは経営改善の切り札として、しばしばもてはやされているように思います。よく引用されるのがアップル社の事例です。推進論者によれば、「イノベーションを生み出す力があれば、工場は持たなくてもできる、むしろ持たないほうが柔軟、迅速、資産効率の良い経営ができる」と結論づけられます。こう聞かされると、良いことづくめなので真似をしたくなりますね。
日本のバブルが終わり、失われた10年と言われたころ、良き経営の説明に、ファブレスとスマイル・カーブがよく引用されていました。スマイル・カーブは、スマイル☺の口ように、バリューチェーンの最初(研究開発・企画)と最後(マーケティング・流通)の部分の付加価値が高く、真ん中(製造)の部分の付加価値は低いという理論です。1992年頃、Acerの創設者であるStan Shihが最初に提案したと言われています。
これを経営戦略とした企業で印象に残っているのは、ソニーとシャープです。東芝も家電などではかなり進めていたと思います。当時は(今も?)この経営手法への賞賛ムードがかなり強かったと思います。
逆にこれらの企業から、スマイルカーブの真ん中部分「付加価値を生まない製造工程」を一手に引き受けたのが、台湾の鴻海精密工業(フォックスコン)でした。多くの同工程を大量に引き受けることで、「規模の経済」を生み出し、経営危機に陥ったシャープやソニーを尻目に、世界有数の大企業に成長し、その後シャープ経営危機を救い、同社の親会社にもなりました。
ものづくりが得意だった日本がそれを捨ててまでファブレスに傾倒していく様は、滑稽に見えました。今は、少し逆戻りしたように思います。アップルとシャープの何が違っていたのでしょうか? おそらく企画戦略力の差が、良いファブレスと悪いファブレスの分かれ目になるのでしょう。
私は、企業戦略を本格的にウォッチングして高々25年ほどのキャリアしかありませんが、その間だけでも流行りは定期的に変化してきました。ブームだからといって、適合する条件を吟味せずに取り入れることは危険と感じます。記事中に指摘のある下記。
>>「生産に関するノウハウがたまらない」「アイデアや技術の流出もあり得る」
・生産に関するノウハウや知見はドキュメント管理や、生産管理やエンジニアのエキスパートを雇い続けることで、ノウハウを保持することはできるだろう。(生産に関する特許を取得したりはできないだろうけど)
・アイデアや技術の流出、これはもう、厳しいNDAで縛るしかないだろうと思う。なので、法務が弱いと実はファブレスはうまくいかないのでは?とも思う。