米インテルが台湾TSMCの製造技術を採用、半導体業界の盟主が交代しつつある理由
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このヘッドライン「盟主が交代」は正しくないと思いました。製造技術は確かにTSMCが最も優れており、安定していますが、半導体産業は製造だけではありませんので。スマホの頭脳を握るアプリケーションプロセッサではクアルコムが断トツですが、製造はTSMCかサムスンです。だといってTSMCが盟主だとはいえません。TSMCだってASMLがEUVを提供してくれなければ製造請負サービスのトップにはなれません。
インテルは5nm以下の微細プロセスではTSMCに依頼しますが、16nm~28nm、40nmは先端ながら比較的低コストで製造できる技術ですので、このプロセスで他社からの製造を請け負います。もちろんプロセッサの設計とアーキテクチャ、ソフトウエア、パッケージ技術はインテルの強みです。
ただしTSMCが強いのは製造技術だけではなく、設計ツールを揃えて顧客の要求に細かく応えられることです。設計に詳しい人材を顧客獲得に持っている点も強いです。日本でファウンドリと称する企業は、製造ラインを持っているだけで、顧客の設計を何もサポートしていませんので、顧客はいつまでたっても付きません。TSMCへの生産委託のメリットとして、Synopsys、Mentor、Arm等が提供するハードウェアIPが使えるようになります。Intelにとっては、これまで自社FabになかったIPを使えるようになり、x86 CPU以外の製品ラインナップを増やすのかもしれません。