[フランクフルト 12日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は戦略見直しの結果を踏まえ、来週22日の理事会で金融政策の方向性を示す「フォワードガイダンス」を変更する方針だ。

ラガルド総裁は12日に放映されたブルームバーグTVとのインタビューで、「(低インフレの)持続性を考慮すると、われわれはコミットメントを果たすことを示す必要があり、フォワードガイダンスは確実に再検討されるだろう」と語った。

ガイダンスがどのように変わる可能性があるのかについては言及せず、「経済の好ましい資金調達環境を維持することが引き続き決定されるというのが私の感触だ」と述べるにとどめた。

また、景気刺激策の縮小について話すには適切な時期ではないとし、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)について、今のところ終了予定となっている来年3月の後は「新しいフォーマットに移行」する可能性があると付け加えた。

デギンドス副総裁も12日、「来週は物価安定の新たな定義を盛り込んだ新しいフォワードガイダンスについて協議する」と確認。シンクタンク、公的通貨金融機関フォーラム(OMFIF)主催のイベントで「フォワードガイダンスの文言を修正し、物価安定の新たな定義を盛り込む必要がある」と発言した。同時に、経済状況はなお脆弱なことから「良好な資金調達環境を維持する必要があるほか、財政・金融刺激策の解除は非常に慎重かつ緩やかに行わなければならず、時期尚早であってはならない」と強調した。

こうした中、理事会メンバーのセンテノ・ポルトガル中銀総裁は、2014年に導入された資産購入プログラム(APP)を金利と切り離すべきと主張。米政治メディアのポリティコに対し「フォワードガイダンスでAPPと金利を切り離すことが利益に資すると考えられ、現在の形態では一方の決定が他の決定を先取りしており、効果的とはいえない」と語った。

現在のガイダンスは、必要な限り債券を買い入れ、インフレ見通しが目標に「しっかりと収れん」しているとみられるまで金利を現行の過去最低水準に維持する、となっている。

ECBは8日、1年半にわたる戦略見直しの結果、中期的なインフレ率目標を「2%」に変更すると発表。これまでの「2%に近いが、それを下回る水準」を改め、物価の一時的な上振れを容認するとした。戦略見直しは2003年以来18年ぶり。気候変動の問題にも一段と配慮する姿勢を示した。