[ヨハネスブルク 12日 ロイター] - 法廷侮辱罪で禁錮1年3月の判決を受け収監された南アフリカのズマ前大統領が禁錮刑の取り消しを求めて起こした訴訟の審理が12日、始まった。

バーチャル形式で行われた審理では、ズマ前大統領の弁護士が禁錮刑の取り消しを要求。法律の専門家は前大統領の訴えが認められる可能性は低いと指摘している。

同国では、ズマ前大統領の収監を受けて、先週以降、抗議活動や略奪が相次いでおり、警察によると少なくとも6人が死亡した。警察はズマ前大統領が禁固刑の取り消しを求めたことで騒動が激化したとの見方を示している。

暴動はズマ前大統領の地元であるクワズールー・ナタール州のほか、国内最大の都市ヨハネスブルクがあるハウテン州でも拡大。州政府などによると、両州の新型コロナウイルスのワクチン接種会場などが安全性を巡る懸念から閉鎖されたという。

ラマポーザ大統領は12日、「われわれが今目の当たりにしているのは、日和見的な犯罪行為だ」と指摘。「このような行為を行った者に対し躊躇せず逮捕・起訴し、法の力を最大限発揮する」とした。逮捕者は両州で489人という。

また、ショッピングセンターや薬局に対する略奪やサプライチェーン(供給網)の混乱により、今後数週間で食料品や医薬品が不足し、ワクチン接種の進展にも支障をきたす可能性があると警告した。

南ア軍は12日、暴動や略奪の鎮圧に向け軍隊を派遣すると発表した。

同発表を受け、南アの通貨ランドは急落し、1630GMT(日本時間13日午前1時30分)時点で対ドルで1.5%安となった。

アナリストによると、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による経済的影響を巡る懸念も下げの一因になっているという。