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ガソリン代がなくなるのはもちろん、発電しているときは車に貯めて、夜は家の電力として使う。EVの蓄電容量は、家庭用蓄電池と比べるとかなり大きいので。
これから政府はエネルギー基本計画の改定をします。3年に一度程度改定するのがエネルギー政策基本法に定められた義務なので。エネルギー基本計画は、定性的な文章で、初めて読むと「あれもこれもちゃんとやります」と書いてあるようにしか見えないかもしれません。ただ、この基本計画に沿う形で経済産業省が10年後のエネルギー構成を定量的に示します(長期エネルギー需給見通し)。定量的に考えるためには、それぞれの電源が10年後に新設した場合いくらくらいなのか(その時点でどれくらいの競争優位を持つのか)と言ったあたりがわからないといけないので、コスト見通しというのはとても大事な要素です。もちろんコストだけで語れるわけではなく、自給率やCO2排出量や、どこまで安定的に発電してくれる技術なのかなども勘案して決めるわけです。
一定の前提を置いての試算なので、どの電源もこの予想を上回ることもあれば下回ることも当然あります。それは原子力だろうが太陽光だろうが風力だろうが同じこと。
特に1kWh当たりのコストなので、原子力を今のように異常に長期間停止させたりすれば結果的にはとても高いということになります。またコストとして出すのは難しいのですが、太陽光や風力はバックアップや調整役を必要とするので、そのコストも含めて考える必要があるというのは記事の通り。
太陽光の価格下落が進んでいることは皆さんご存知だったと思います。世界的には既に3円とか4円/kWhでできるところもあるのに、なぜ日本は10年後(技術進歩や価格低下も見込んでいるはずなのに)で8-11円なんだ?!というのは思われた方もいるかもしれません。
そこは本当に何とかしたい。
ただ、日本はこの狭い国土です。コスト下げやすいのは大規模にやるメガソーラーなのですが、そのために山を削れば相当の造成コストがかかります。これまではFIT賦課金が山を切り開いて太陽光をやってもペイするくらい手厚い補助金だったわけですが、さすがに賦課金も徐々に落ちてきたうえ、適した土地もあまり残っていません。そしてなにより、国土を削ることへの国民理解は得られないでしょう。
今後は屋根上や駐車場を丁寧に開発する必要がありますが、それだったら海外と同程度のコストでできるはず。やらねばです。
それでも、再エネ全般のコスト低下はすごい。そのなかで、ソーラーについて気になっているのはウイグル問題に伴うポリシリコン価格の急騰(下記)。エネルギー問題も各種産業も、外交含めた国家間の競争の影響を受ける。たしかグローバルのソーラーの生産の8割くらいが中国で生産されていたと思うので、注視。
https://newspicks.com/news/5987852
追記
太陽光の「安さ」や原発の「高さ」について解説したところで、皆みたい世界の前提が違うので、殆ど意味をなさない。そもそも今はkWh発電コストで方向性を決める問題ではもはやない。
石炭火力がLNGより高いことについて。アンモニア混焼20%と、CO2価格も加味されてるっぽい。そんなの横並びにしていいのだろうか。
テスラがサモア島やオーストラリアで提供しているメガパックという巨大な自治体向けの蓄電池に溜めて、そこから安定供給する仕組みを既に提供しています。詳しくは下記の動画で解説しているので、テスラの発電事業について知りたい方は是非ご覧ください。
【10分解説】テスラ | 株価が跳ね上がり続ける理由は何か? https://youtu.be/cN-xgrd_85k
また、バイデン政権は、強制労働を疑われる中国からの太陽光発電パネル部材の輸入を6月に禁止、現在の奴隷制度を容認しないと発表。綿から太陽光パネルにまで広がりつつある。世界の8割のポリシリコンは中国製であり、今後の日本の太陽光発電に影響するのは必至。
日本は、強制労働を見て見ぬふりをするのか、あるいは、メイドインジャパンの道を切り開くのか、選択が迫られます。
そういった意味では、組み合わせで、コストと安定的供給の両面から考えた最適化を検討すべきでしょう。
カーボン・ニュートラルの動きに対応するためには、日本のエネルギー・ミックスこそ脱化石燃料が必須ですが、そのためには、こういった単純な検討ではなく、総合的な戦略構築が必須となります。
※個人的な見解であり、所属する会社、組織とは全く関係ありません