【3分解説】グーグルの投資集団が見る、5年後のフロンティア
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GVの投資先はかなり多くの人数でかつ人の入れ替わりもあるので個人的には傾向や方針のばらつきも見られて玉石混合で多少高音つかみも気にしないというようなイメージを持っています。ただ、投資金額も、人員も莫大、かつ伸びそうな分野は競合も含んだ複数の先を総花的に張るというVCにはやりにくい戦略を巨大な規模でやることにより、ヘルスケアITのようなこれから伸びていくところであればうまくいきそうな気もします。
面白いのはGVで投資実績を作った若手が自分のファンドを立ち上げたり、他のファンドに行く人材輩出元にもなりつつあります。そういう見方で言うと90年代−2000年のIntel Capitalのような感じなのかもしれません。
注目のコメント
グーグルのCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)でありながら、純粋に「金銭リターン」を追求するGV。この会社に投資したら「グーグルにこんなシナジーが生まれるかな」なんてことは考えておらず、いかにイノベーションの芽を早く見つけられるかに全力を注いでいます。
だからこそ、彼らの投資先を見ることで、GVがどう時代を読んでいるか、グーグルがどんな未来を見ているのかがわかります。
非常に面白いのは投資する分野に大きなトレンドが見えることです。GVが歴史的に見て最も多く投資をしている「IT」(2010−2021年、Stripe、Incorta GitLabなど累計381社)は2011年に爆発的に増え、2014年にピーク、そこからは緩やかに減少傾向にあります。
それに取って変わるように増えているのが、ライフサイエンス投資です。2015年にはその前の年から2倍に投資件数が増え、そこから右肩上がり。新型コロナの拡大で、去年のライフサイエンス投資は過去最高となりました。そしてこのトレンドは今年も続いています。
2019年にはエネルギーの分野に投資も始めているので、ライフサイエンスと近しい分野で投資が増えていくかもしれません。
10年後、「そういえば、グーグルって検索、広告が主力だったよね」という時代が来るのか。もしそうだとすれば、今まさにその端緒が見えているんじゃないか、そのように感じます。よく考えたらGoogleの資金を使って、投資をするGV。気になるのは、彼らが失敗するVCの要素を1年間リサーチした結果、「会社のお金を使ったベンチャー投資でも、大当たりが出たら、大きな成功報酬をもらえる」ことを絶対条件としたこと。その詳細はわからないのですが、あくまでサラリーマンが投資することが多い日本のCVCと、どれだけインセンティブや採用人材が違うのかはもっと知りたいように思いました。
「CVCで参考にしたい先は?」と日本企業の方々に伺うとGVという答えがよく返ってきますが、その規模感やスタンス的にCVCと呼ぶには異質の存在です。
そんな彼らが力を入れているのがヘルスケア、とくにバイオテックの領域です。元々他の領域の投資でも明確なストーリーは見えないので、この領域でもある種ブルドーザー的に投資を続けていくと思います。
社内の既存テクノロジーとのカニばりを恐れず、よりよいテクノロジーを採用するのがGoogleの特徴の一つです。投資先の多くはGoogleと直接連携しないかもですが、いくつかの少数の投資先はGoogleが持つ顧客接点を活かし、サービスに組み込まれたり、そのデータを活用してヘルスケア領域の新サービスの一部になることは想像に難くないです。