2021/7/11

全米でインドア栽培が拡大。ハイテクが変える農業の潮流

INDEX
  • 大型の屋内農場が続々登場
  • 食料危機の救世主となるか
  • 南極でも宇宙でも栽培できる
  • 食品サプライチェーンを再編
  • 有機農家からは懐疑の声も
  • 昔ながらの農家と共存

大型の屋内農場が続々登場

ケンタッキー州のモアヘッド。アパラチア炭田の端に位置するこぎれいなこの町には、巨大なハイテク温室がある。
ピンクとイエローに輝くLEDライトと高圧ナトリウム灯3万600個分の光量は、サッカー競技場50個を明るく照らすことができるほどだ。
温室内に、土は小さじ1杯分もない。
しかし、高さ約14メートルの苗木に300万ポンド(約1300トン)のビーフステーキトマトがなり、その根は栄養分が豊富な雨水に浸されている。
他の苗木には、小さくてジューシーなスナックトマトが何千個も実をつけている。その独特の味わいは、この農場を運営するスタートアップ、アップハーベスト(AppHarvest)の役員に名を連ねる料理研究家マーサ・スチュワートも感動するほどの出来栄えだ。
この農場でトマトが初めて収穫されたのは今年1月のこと。アップハーベストは2025年までに、アパラチア地方にさらに11カ所の屋内農場を建設する予定だ。
アップハーベスト社のトマト農場(Luke Sharrett/The New York Times)