[東京 9日 ロイター] - 来週の外為市場ではドル/円は、米長期金利や経済指標をにらみながら110円台半ばに向けて上値を試す展開が予想されている。一時は急落していた米長期金利は水準を回復しており、それにつれてドル/円もしっかりした値動きとなる見通し。米国で消費者物価指数(CPI)の公表やパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言を控えており、今後の米金利や金融政策の動向を占う上で関心が寄せられている。

予想レンジはドルが108.85━111.50円、ユーロが1.1770―1.1920ドル。

新型コロナウイルスのデルタ変異株が世界的な広がりを見せ始めていることで、9日にはリスク資産売り/安全資産買いのリスクオフの流れでドルは109円台まで下落した。ただ、こうした一時的なリスクポジションの手仕舞いの動きが一巡すれば、ドルは再び底固さを増すとの見方も多い。

米長期金利は一時1.25%まで急落し、市場では「想定外に下がった印象」(野村証券のチーフ為替ストラテジスト・後藤祐二朗氏)との声が多く聞かれた。その後は1.3%台を回復しており、調整は一巡した可能性もある。

引き続き米長期金利の動向には注意が必要だが、米債市場が落ち着きを取り戻せば「ドルは110円半ばくらいまでは戻る可能性がある」(楽天証券・FXディーリング部、荒地潤氏)という。

米金利の動きとFRBの金融政策の方向性を見極めたいとする市場参加者が多い中で、13日には6月米CPIの公表、14日にはパウエルFRB議長の議会証言が控えている。CPIは今回も強い内容が予想されているほか、パウエル議長がタカ派姿勢を覆して市場の混乱を深めるような発言をする可能性は低いとみられており、FRBのテーパリング(量的緩和の段階的縮小)期待はドルのサポートにつながりそうだ。

為替替市場全体でのドル高基調を受け、ユーロは1.18ドル台上値の重い展開が予想されている。

来週の主なスケジュールでは、国内では5月機械受注などの公表や、15─16日には日銀の金融政策決定会合の開催と展望リポートの発表が予定されている。海外では、中国で4―6月期四半期国内総生産(GDP)、米国で6月小売売上高が発表予定となっている。