2021/7/10

【話題】有名ブランドが続々手を組む、新世代ギャラリストの正体

NewsPicks, Inc. 公式アカウント
商業的な活動を良しとしない風潮のあるアート業界の風向きをかえ、ビジネスとアートの両方で注目を集めるのがNANZUKAオーナーの南塚真史氏だ。
南塚氏はギャラリストとして、田名網敬一氏や空山基氏といった近年再評価されたアーティストなどを発掘した人物。加えて、彼が注目を集めるのは、既存のギャラリストの枠に留まらない活動にある。それまで、アート界から遠いものとされていた企業とのコラボレーションを積極的に実行し、ビジネスの世界へと足を踏み入れているのだ。
たとえば、2020年にはユニクロと所属アーティストのコラボTシャツ企画を実施。ルイ ヴィトン、クリスチャン ディオールやアディダスと所属アーティストのコラボ企画を主導した。
また、2019年には、渋谷PARCOがリニューアルオープンするのを機に、ギャラリー所属のアーティストグッズを取り扱う直営店を出店。リニューアル後、3日間で3億円を売り上げたことが、業界のみならず注目を集めた。
今回、ギャラリストという概念を拡張して、ビジネスの境界を越え続ける南塚氏にインタビューを実施。
クリエイティブを用いたビジネスの未来像や、新時代に生き残れるギャラリストの要諦などを聞いた。
INDEX
  • 「アートの価値」を掘り起こしていく
  • 中国の若者が動かす市場
  • 大量生産のユニクロTシャツ
  • アーティストとの「共闘関係」の作り方
  • ギャラリーがオワコンになりつつある

「アートの価値」を掘り起こしていく

──田名網敬一氏や空山基氏など所属アーティストとブランドとのコラボレーションや、パルコの店舗の好調さなど、NANZUKAに関する話題がアート界の外にも聞こえてきます。どのようなことが理由で、世の中から注目されていると受け止めていますか。
南塚 世界情勢の流れを見ると、アメリカのような強国の総大将にトランプのような、いわば「偏見の親玉」的な存在が出てきた。すると「トランプは間違っている」と言いたい人たちが、人種的マイノリティーや性的マイノリティーを支援する方へと動き始め、リベラルのベクトルが社会的正義の軸に向かっていきました。