2021/7/26

【動画活用術】求人、事業紹介、名刺交換…あらゆるコミュニケーションを「武器」に変える方法

NewsPicks BrandDesign ChiefEditor / NewsPicksパブリッシング 編集者
 コロナ禍の影響で、対面でのビジネスチャンスが奪われた今、顧客とのコミュニケーションのあり方にアップデートが求められている。
 そんな中で、求人から事業紹介、社内の収益報告、名刺交換まであらゆるコミュニケーションにおいて動画を活用するユニークなケースが登場している。
 主に広告マーケティングの領域で注目されてきた動画は、どのようなポテンシャルがあるのだろうか。
 マーケティング動画クラウドサービス「リチカ クラウドスタジオ」を活用する企業4社の活用事例を紹介する。
INDEX
  • 金融機関のケース:見落とされやすい情報をユーザーに伝達
  • 海運企業のケース:自社事業を動画で海外に発信
  • 広告企業のケース:「動く名刺」で円滑な営業コミュニケーション
  • 人材・広告企業のケース:動画商品の開発
  • ビジネスを加速するコミュニケーションの“リッチ化”

金融機関のケース:見落とされやすい情報をユーザーに伝達

 “情報伝達の取りこぼし”がトラブルにつながってしまう金融業界において、顧客満足度をアップするために、どのようにユーザーとのコミュニケーションを工夫できるだろうか。
 岡山県倉敷市を拠点とする玉島信用金庫では、顧客とのコミュニケーションに動画を活用している。
【玉島信用金庫の事例①】収益状況を動画化
 玉島信用金庫では、収益状況をわかりやすく伝えるため動画クリエイティブを作成した。
 前年度の収益との比較を説明する際に、「リチカ クラウドスタジオ」のアニメーション機能を活用。収益の状況を効果的に伝えた。
【玉島信用金庫の事例②】シーズン限定の動画を自作し迅速に周知
 店舗を訪れたユーザーへ、店頭のサイネージでゴールデンウィーク中のATM稼働時間を知らせる動画を作成した。
 これらの事例で共通するのは、動画フォーマットを用いることで、見落とされがちな情報や複雑な情報を、わかりやすく・シンプルに伝えているという点だ。
 今年2021年にケーブルテレビで放映した元旦用のCMも、リチカ クラウドスタジオで作成した。
 スピーディーに「今」伝えたいことを形にしながら、顧客とのコミュニケーションを深めている。
 担当者によると、リチカ クラウドスタジオを導入したのは2020年のこと。「動画がこれからの主流になる」と踏み、広報媒体を紙からデジタルへと移行する方針を固めたことがきっかけだった。
 映像制作会社へ外注すると柔軟な差し替えが難しく、かつ金銭コストがかかる。誰でも・簡単に動画制作ができる内部制作用のツールを検討するなかで「フォーマットの豊富さ」からリチカ クラウドスタジオを導入したという。
「例年通り制作会社へ静止画をスライドさせる動画を依頼していたら、『ああ、いつものやつね』と、社内でも素通りされていたんじゃないかと思います。短期間で低コストにアウトプットができて満足しています」と担当者は語る。

海運企業のケース:自社事業を動画で海外に発信

 動画の「伝えやすさ」を活かし、事業の認知拡大へと役立てるケースもある。
 国内の大手海運会社である商船三井では、コンテンツマーケティングの一環として、自社で動画クリエイティブを制作している。
【商船三井の事例①】プロジェクトの概要を動画でコンパクトに説明
 商船三井では国内外の事業紹介に動画を活用している。
 天然ガスの受入設備の設置を低コストかつ短期間で実現が可能なソリューションの優位性を訴求する動画を作成し、静止画・動画を活用しながら要点をコンパクトに説明。詳細を記した資料ダウンロードを促す動画も別途作成し、LinkedInに公開している。
【商船三井の事例②】事業紹介の動画で国外顧客へアプローチ
 商船三井の100%子会社であり、アフリカへの中古農機輸出事業に携わるKiliMOL株式会社(以下・キリモル)ではトラクター輸出事業を海外向けに発信する動画を作成。スライドやテキストでは端的に伝えにくい商品の特徴をコンパクトに表現している。
 短時間で多くの情報を伝えることができるのは、動画ならではの利点である。1分間の動画の中には、最大で180万字に相当する情報量を伝えられるという研究※もある。
※Dr. James McQuivey of Forrester Research
 また、この動画では英語による字幕を掲載しているが、映像により言語の壁を越えて直感的に商材の訴求ができることも、動画フォーマットの大きなメリットと言えよう。
 いずれもテキストでは伝わりづらい商材・サービスだが、実際に商材が活用されている様子が伝わる動画は、社内外で反応がいい。他社から「これを自社で用意しているとは」という驚きの声も寄せられているそうだ。
 そもそも商船三井ではコンテンツマーケティングの一環として動画を取り入れるべく、リチカ クラウドスタジオを導入した。
 ツールを選ぶ決め手となったのは、短時間でハイクオリティな動画を作成でき、自社のデザイン未経験者でも動画を容易に作成できることだ。
 しかも、リチカ クラウドスタジオでは原稿を自動音声が読み上げるAIナレーション機能に、英語と台湾語が対応している。字幕機能も中国語フォント(繁体字・簡体字)の入力ができるため、キリモルのように「海外向けの発信」を行いたい、というニーズにはマッチしている。
「今まではクリエイティブを制作する際、事業や専門用語の説明を動画制作会社へ事前共有していたんです。その手間が省かれ、効率性と自由度が格段に上がりました」と商船三井の動画制作に関わった商船三井の担当者は語る。
 今後は動画コンテンツを通し、見込み顧客の獲得のみならず成約までを狙う方針だ。

広告企業のケース:「動く名刺」で円滑な営業コミュニケーション

 コロナ禍で、業界を問わず営業職では顧客へのアプローチの方法が大きく変化し、ファーストコンタクトでの“相手への印象づけ”がしにくくなった。
 総合広告商社・株式会社エイエイピーでは、コミュニケーションのタッチポイントをより強化すべく、動画コンテンツを活用している。
【エイエイピーの事例】gif名刺をメールに添付し「営業の顔」を伝える
 エイエイピーでは、リチカ クラウドスタジオの縦型フォーマットを活用し、社員一人ひとりのプロフィールを紹介するgif素材を作成。
 メール文の署名欄に素材を添付することで、一度も会ったことのない顧客に対し「営業の顔」を伝え、コミュニケーションを円滑にする取り組みを始めた。
 使用する写真はすべてスマートフォンで撮影し、わずか1日程度で社員全員のgif素材を生成。手間やコストをかけずに制作したにもかかわらず、メールに添付した“動く名刺”をきっかけに、チラシ印刷の案件を受注するなどの効果があった。
 直近では実際の名刺にもgif素材へ遷移するQRコードをプリントするなど、顧客との会話の糸口として活用している。また、エイエイピーでは“動く名刺”そのものを商材としても販売するようになった。
「これからはgif素材だけではなく、社員の自己紹介ムービーも作成してみたいです。面談したクライアント様にあわせカスタマイズした挨拶動画など、コミュニケーションの掴みとして有効に使えればと思います」と、エイエイピー担当者は今後の見通しを語る。

人材・広告企業のケース:動画商品の開発

 最後に、リチカ クラウドスタジオでの動画クリエイティブを商品パッケージ化した事例をご紹介する。
 株式会社マイナビが運営するマイナビ転職では、求人広告の出稿クライアントに向け、動画作成・配信をセットにした商品パッケージを開発した。
【マイナビ転職の事例】既存の求人広告素材を使ってクイックに動画制作
 クライアントから受け取った求人広告の入稿情報をもとに、マイナビが「リチカ クラウドスタジオ」と連携し、動画を制作・納品している。
 動画化することでクライアントの求人情報の魅力を直感的に訴求。企業へのエンゲージメントを高めるコミュニケーションを実現している。
 実はマイナビでは、以前から同様の動画パッケージを用意していた。求人における動画ニーズそのものは伸びていたものの、コストとスケジュール面が課題となり、受注につながらなかったという。
 そこで、課題をクリアしながら動画商材を開発できるリチカ クラウドスタジオの「フォーマット形式」を活用し、短納期・低予算で顧客の動画広告を作成するパッケージを生み出すに至ったのだ。
 マイナビ担当者は「制作による負荷をかけることなく、かつ売りやすい商材をリリースできた」とリチカ クラウドスタジオが収益拡大に貢献したことを高く評価する。リチカ クラウドスタジオを顧客説得の“営業材料”として活用しているのは、この事例におけるポイントだ。

ビジネスを加速するコミュニケーションの“リッチ化”

 各事例のポイントは、いずれの企業も「リチカ クラウドスタジオ」の活用によって、低コスト&スピーディーに動画を制作していること。そしてクリエイティブを専門としない担当者が動画制作を行っている、ということだ。
 もちろん動画をリリースするだけで、すぐ売り上げに直結するわけではない。動画、テキスト、ポスターなど、それぞれの発信手段にメリット・デメリットが存在する。
 しかしシーンに応じ、情報を効果的に伝えるための武器を手に入れることは、最終的に顧客のユーザビリティや満足度の向上につながる。
 より直感的に発信できるチャンネルを多くもつことは、これからのコミュニケーションをアップデートしていくための鍵となるはずだ。