[香港 6日 ロイター] - 香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は6日の会見で、「イデオロギー」が国家安全保障にリスクをもたらすとして、法律に違反する若者を当局に報告するよう保護者や教師、宗教関係者に促した。

林鄭長官は、中国への香港返還から24年となった今月1日に、抗議デモを警戒して警備に当たっていた警官を50歳の男が刺し、その後自殺した事件を巡り、一部の市民が男の死を悼んでいることに驚きを示した。

「市民は長い間、違法な手段を通じて正義を実現するといった誤った思想にさらされてきた」と述べ、国家安全保障へのリスクは「社会秩序」に関する行為だけでなく、イデオロギーからも生まれると指摘。

政府機関は「違法な思想が教育や放送、芸術、文化を通じて市民に浸透し、暴力を美化し、市民の良心を曇らせるのを容認すべきではない」とした。

また「保護者や校長、教師、そして牧師に対し、周囲の10代の若者の行動を監視するよう求める。違法行為が見られれば、報告しなければならない」と述べた。

1日の事件について警察は、「単独のテロリスト攻撃」だったとしている。2日には市民が事件現場を訪れ、花を供えるなどしており、林鄭長官ら当局者は非難していた。

長官は、この事件の責任を政府が負うと示唆するインターネット上の投稿などに市民はだまされてはならないと強調。「暴力を行う者のために言い訳を探すべきではない」と述べた。

香港の個人情報保護法の見直し案については、インターネット上で個人情報を無断で暴露する「ドクシング」という違法行為のみが対象になるとした。

米フェイスブックやアルファベット傘下のグーグル、ツイッターが加盟する業界団体、アジアインターネット連盟(AIC)は香港当局に宛てた6月25日付の書簡で、同法の見直しが計画通り進められれば、ハイテク企業は香港でのサービス提供を停止する可能性があると警告した。