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中国政府が香港にしようとしていることは、中国国内のスタンダードを適用している、といえます。何も皆殺しにしようとかいうことではなく、普通の中国人になることを強制しています。
 中国政府に限らないですが、自分たちと同化してやれば喜ぶだろう、とか、自分たちと同じ言語や文化を受け入れることが不満なのか(不満だとしたら自分たちへの侮辱だ)という発想を人間がすることはめずらしくありません。
 しかし、中国というのはもともとそんなに一枚岩の社会ではありません。同化しようとしていく力は中国の歴史を通して存在して、それこそが中国の歴史といってもいいですが、現在はかつてないほどその力が強くなっています。
 香港というのは、英国の植民地になった、というのが一面であり、中国の同化の力から逃れようとした人々の拠り所、外の世界へ脱出するための限られた出口、という一面もありました。
 香港は単なる金融センターではなく、世界に散る中華系資本の避難所、ブラックマネーのロンダリング拠点、何でも入手できる世界最大規模のブラックマーケットでもありました。芸能や娯楽の中心地でもありました。そういう、中国では許されないことができる場であることが香港の力の源であり、そうであるからこそ中国にとっても金の卵を産むニワトリでした。
 今では、香港が金の卵を産むことよりも、普通の中国の一部となることが最優先されています。
以前も香港関連の記事でコメントしたのですが、2015年に公開された香港映画、「10年(Ten Years)」が思い出されます。5人の若手監督が香港の10年後の未来、つまり2025年を描いた5本のショート・ムービーで構成され、哀愁とディストピア感が漂います。

当時、中国政府の不興を買い、中国メディアからバッシングを受けました。今だからこそ改めて観たくなる映像作品です。(シンガポールではNetflixで視聴可能なので、日本でも観られると思います)。
http://www.tenyears-movie.com
この話に限らず、監視社会というものは生きづらいものです。
そもそも誰しも自由に、縛られず生きることが保障されないと常に疑心暗鬼に陥る可能性があり、それによって良い作用が働くとは思えません。
その意味で、国家や都市単位でこうした思想の規制が入るような事態は非常事態だと思います。日本にいることを幸運に思いつつ、フラットな感覚で生きていけるよう努力したいです。
「党の決定は全て正しかった」
「政府の全ての行動は正当性があった」
「党を愛しない人は愛国者ではない」
・・・
こういう狭隘的な価値観は本当に正しいものなのか、一度中国を出ないと理解しにくいかもしれません。
今香港で起きた変化は、十数年前、もしくは数十年前から中国本土ですでに発生しました。なので記事を見たら、全く予想外のことがなく、驚きもありません。

国際政治上は、諸外国からの影響力がなければ、香港は単なる中国の一都市です。その大前提を変えなければ、何も変わりません。
「香港は常に、不可能を可能にする都市だった」
このフレーズが過去形で書かれていることの意味は大きい。
香港が無くなればシンガポールがあるという意見もあるだろうが、香港の良さは明らかにあるので、そこが引き続きイノベーティブな場所であり続けることに期待したい。
香港については、返還から50年後にはこうなることは分かっていたはず。中華思想に国境の概念はない。かつて中国の王朝が支配したことのないエリアへの領土的野心をどうやって正当化するのかについては興味があります。