時流に乗り、米「コーチング」のスタートアップが初の資金調達
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米国の企業が従業員のメンタルヘルスに投資するのは大きなトレンドになっており、従業員に対するメンタルヘルスケアを請け負う企業も数多く設立されています。従業員のメンタルヘルスが生産性に与える影響の甚大さを企業が認識していることの表れと考えます。
私はLyraという元Facebook CFOのDavid Ebersmanが2014年に立ち上げたメンタルヘルスケアサービス企業の業務委託を受け、同社の顧客企業の従業員の診療を行なっています。
同社の顧客企業にはFacebook, Google, Tesla, SpaceX, Uberなどを始め、米国の今を時めく企業が80社以上名を連ねています。
これらの顧客企業の従業員は同社のサービスを通じて精神科医や臨床心理士よるメンタルヘルスケアを無料、もしくは低価格で年間一定回数受けることができます。
従業員側としては自分で受診先を探す手間がないだけでなく、無料か極めて少ない自己負担額ですぐに気軽にメンタルヘルスケアの専門家を受診することができます。もちろん、受診した事実が勤務先に開示されることは決してありません。
メンタルヘルスケアを提供する我々からしても、患者さんの紹介を受けられるだけでなく、保険会社に対する煩雑な診療報酬請求手続きをせずに速やかに診療報酬の支払いを受けられ、どちらにとってもwin-winの関係となります。
米国の医療保険制度は非常に複雑なだけでなく、保険会社の利益優先主義が蔓延っており、患者さんにとってもメンタルヘルスケア専門家にとってもメンタルヘルスケアの普及の大きな障壁になっています。こうした制度上の不備を穴埋めする形で、同様のサービスは全米でさらに拡大していくと思われます。「働く人のメンタルヘルス」に関するサービスを提供するザ・グランド(共同創設者アニタ・ホサイン=チョウドリーとレイ・ワン)は初の資金調達に成功したということです。
米国における警察の暴力や人種間の不平等を巡る認識の拡大により、自分の身体・精神の健康は自分で守る、という考え方がより深まった結果なのではないかと考えます。