ノバルティスと元社員の無罪確定へ 特捜事件で異例の全面無罪
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問題となった条文は、現在の薬機法第66条第1項(※)に該当する条文でしょう。旧薬事法とは、多少条文が変わっていますが、問題となっている部分は異なりません。
広告の定義を判示したという点で実務上重要な判例でしょうけども、記事の内容を読む限りでは、妥当な判決と感じます。
それよりも、当時から感じていたことですが、なぜ特捜が、「学術論文を専門誌に掲載させた行為が広告に当たる」という苦しいロジックで起訴まで持ち込んだのかが疑問です。
もちろん、「他に適用するべき適切な法令がないから」という理由だとは思うのですが、それにしても筋が悪い裁判だったと思います。
(もちろん、臨床研究データの改ざんがあっていい、という話ではなく、広告規制ではない別の方法による規制・立法措置が必要)
※ 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。うーん、確定したものは仕方ないが、違和感のある判決。「学術論文は広告ではない」と言われてみればそうなので、法律上はそうなるのかもしれないが、腑に落ちない。
学術論文を根拠にしたアカデミックマーケティングは、かなりうさんくさいものも含めて広く行われている。自分も医者に「この薬は国に承認されている疾患Aだけでなく、未承認の疾患Bにも効くという論文が出てるんですよ」と言われて処方箋を出してもらったことがある。患者としても医者としても、製薬会社が学術論文を出してきたら、それ以上突っ込みようがない。
学術論文の真偽にかかわらず、製薬企業や健康食品メーカーはアカデミックマーケティングをどんどんやってOKという判例が確定してしまった。消費者・患者保護という観点からは残念な判決と言わざるをえない。