[ロンドン 29日 ロイター] - 英住宅金融会社ネーションワイドが29日発表した6月の英住宅価格は、前年比13.4%上昇と16年ぶりの高い伸びになった。

新型コロナウイルス対策の一環で優遇税制が導入されており、今後も旺盛な需要が続く見通しという。

6月の英住宅価格は前月比では0.7%上昇。優遇税制の適用を受けるため買い手が売買契約を急いでいるほか、ロックダウン(都市封鎖)を背景に広い住宅に住み替える動きが広がった。

同社のチーフエコノミスト、ロバート・ガードナー氏は「ベース効果が一因だ。昨年6月は最初のロックダウンで市場が極めて低迷していた。ただ、市場の力強い勢いは続いている」と述べた。

ロイターがまとめた市場予想は、前年比13.7%上昇、前月比0.7%上昇だった。

優遇税制は3月末で失効する予定だったが、イングランドと北アイルランドでは、全ての不動産の購入について最初の50万ポンド(69万3250ドル)は土地印紙税が6月末まで引き続き免除される。その後9月末までは非課税枠が25万ポンドとなる。

ガードナー氏は「経済活動の再開で、目先、基調的に堅調な需要が続く可能性が高い」と指摘。

「消費者信頼感も上向いており、借り入れコストも依然として低い。これに市場への供給不足が重なっており、価格にはさらに上昇圧力がかかるだろう。ただ、年末にかけての見通しは予測が難しい」と述べた。

9月末には優遇税制に加えて雇用支援策も段階的に縮小され、失業が増えるとの懸念が浮上している。

同社は、優遇税制が終了しても広い住宅に対する需要は続くのではないかと予測。

同社が先月発表した調査によると、住み替えを検討している10世帯のうち7世帯近くが優遇税制が延長されなくても住み替えると回答した。

イングランド銀行(英中央銀行)は、経済再開に伴うインフレの可能性を見極めるため、住宅市場を注視すると表明している。