[チューリヒ 25日 ロイター] - 複数の関係筋によると、スイスの金融大手クレディ・スイスの経営陣は、一連の不祥事を受けて、事業再編の検討を迫られている。同国の金融大手UBSとの合併を検討する可能性もあるという。

クレディ・スイスの経営陣は、米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントと英グリーンシル・キャピタルを巡る不祥事を受けて、投資家から事業分割を求める声が出るのではないかと懸念。株価も下落しているため、海外企業から敵対的買収を仕掛けられるとの懸念も浮上している。

関係筋によると、経営陣は来週会合を開く予定。7月初旬に事業再編策を検討することを望んでいるという。

同社の株価は、グリーンシルの問題が発覚した3月初旬以降、25%以上値下がりしている。

ある関係筋は「クレディ・スイスには直ちに合併が必要だ。このまま手をこまねいていれば、アクティビスト投資家の標的になるとの懸念が強まっている」と述べた。

一部の幹部は、国内部門をスピンオフ(分離・独立)して、残りの事業を他社と統合することや、投資銀行部門の縮小、資産運用部門の売却などについて協議。米投資銀行部門の売却も選択肢に入っているという。

事業再編に関する経営陣の協議は予備的なもので、協議は進められているものの最終決定には至っていない。

クレディ・スイスとUBSはコメントを控えている。

スイスの銀行は、守秘義務を巡って米政府から圧力を受けた経緯があり、米金融機関による買収はスイスでは受け入れにくいとみられている。関係筋は、UBSとの合併のほうが受け入れやすいと指摘する。

ただ、両行が合併すれば、国内市場で圧倒的なシェアを握ることになり、規制当局が懸念を示す可能性がある。関係筋によると、競争上の懸念に対応するため、クレディ・スイスが国内部門を分離する可能性もある。

両行が合併すれば、従業員は11万人以上、時価総額は850億ドルを超える。