わかる！バイオテクノロジーとファイナンスの新常識
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NASDAQ Biotechnology Indexは2003年から約7倍に価格上昇です。
https://www.google.com/finance/quote/NBI:INDEXNASDAQ?sa=X&ved=2ahUKEwioi6fHubLxAhWKP5QKHX5hCS0Q3ecFMAF6BAgHEBo&window=MAX
日本でもバイオへの投資を期待します。
シングルセル解析について、がんの微小環境や不均一性の解析が期待されます。
がん細胞が成長すると、サイトカインや分泌因子を使って、まわりの正常な細胞にシグナルを送り、がんの成長や転移、免疫細胞からの回避などに有利になる物質を産生させるようになります。これをがんの微小環境の形成と言います。
また、大きく発達したがんには、不均一性があり、これが、抗がん剤の抵抗性の関連していることが容易に推測できます。抗がん剤の効きやすい部分は、投与により、死滅しますが、効きにくい部分はむしろ、増殖をとめきれず死滅した部分を埋めて膨張しつづけることになります。
これまで、小さな組織断片を取ってきても、多くの細胞が混じった状態で、遺伝子の（正確にはタンパク質発現の鋳型となるmRNA）の解析を行っていましたが、これが一細胞レベルで、分けて解析ができるようになったのは非常に大きいと思います。がん細胞とそれを取り巻く細胞の間の相互作用が今までよりも鮮明にわかることが期待できますし、不均一ながん細胞をわけて、それぞれの細胞でどのようなmRNAが転写されているのかがわかります。
（どのmRNAが転写されているのかがわかるとmRNAはタンパク質の鋳型ですから、どのタンパク質が作られているかが推測できます。基本的にタンパク質が細胞の機能を担っています）
10xGenomics社のサイトに上記の事項について、すでに論文が多数、出版されているという資料がありました。
https://pages.10xgenomics.com/rs/446-PBO-704/images/JP_10x_LIT075_ResearchHighlights_Cancer_A4_digital.pdf
また、シングルセル解析を行っている国内企業ナレッジパレットのサイトは以下です。
https://www.knowledge-palette.com/今回はバイオ業界の最注目の技術「シングルセル解析」とその先駆者と言える米10xGenomicsを中心に取り上げました。
米国ではバイオに注力するVCが増え、スタートアップの急成長を支えています。一方、日本では世界に誇る技術を持ったスタートアップが生まれているものの、それを支える投資家は十分とは言えません。少しずつ改善の兆しがあるとは言え、米国の勢いが増しているだけにこのままでは差は開く一方です。せっかく生まれた技術を生かしてグローバルに活躍できる企業を育てるためにもスタートアップのエコシステムが育つことを期待しています。シングルセル（単一細胞）解析 ―１つの細胞単位で解析できると、見える世界が変わります。
たとえば、発現している遺伝子が２本のDNAのどちらから発現しているかを明らかにする解析があります。
人間は、父親由来のDNAと母親由来のDNAを１本ずつ持っていますが、あるRNAが発現しているときに、これが父親由来のDNAから発現してきたものか、それとも母親由来のDNAから発現してきたものかを調べるのです。
これがわかると何が嬉しいかというと、従来は、２本のDNA由来のRNAの平均値を見ていたため、DNAに変異が入っていたらすべての細胞で表現型がでるとみなしていました。
でも、DNAを1本単位で見ることができれば、変異DNAからRNAが発現しているのかまで調べられ、真に変異アリルからRNAが発現している細胞のみを標的にした、より精密な創薬へつなげることができます。
創薬のさらなる発展に期待です！
