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ベトナムのホーチミンなどにとってもそうでしたが、共産主義というのはせいぜい手段に過ぎず、毛沢東や共産党の指導者たちにとっても、共産主義を実現したくて共産党に入ったというよりも、共産主義によって独立と近代化を実現することが目的でした。
アヘン戦争以後の中国で、独立と近代化を目指した勢力はいくつも現れました。清朝の重臣にもいました。中国国民党の孫文とその後継者の蒋介石が本命であろうとは、日本政府を含め、世界中が考えていました。
中国共産党は、最初はドイツ語のマルクスの本が読めるような大学教授ら数十人の集まりに過ぎず、まさか中国全土を支配するとは、誰も予想していませんでした。ソ連のスターリンも、全くそんなことは期待していませんでした。
実際、当初の中国共産党は、大学教授や学生たちが小規模にビラを配ったりしては逮捕されて壊滅する程度の、革命などできそうにない集団でした。そこから、全く別物の運動をつくりあげたのが毛沢東でした。
毛沢東はドイツ語を含め外国語など一切読めませんでしたが、農村に入り込んで農民を煽動し、山賊団の首領たちと友誼を固め、中国国民党から軍人を引き抜き、共産党の軍隊、紅軍をつくりあげました。江西省で蜂起してから8万の兵力で陝西省まで1万キロ以上を移動し、10年後に第二次世界大戦が終わる頃には100万を超える兵力になっていました。戦乱を勝ち抜いたという点では、中国史上有数の人物でしょう。
毛沢東はおよそ治世の名君ではありませんでしたが、中国共産党の幸運は鄧小平ら、多彩な能臣がいて、「四つの近代化」を進めていったことです。毛沢東と手法は違いましたが、独立だけではなく近代化も達成してしまい、中国共産党が中国の最善の選択肢であったことを証明してしまいました。
そもそも、共産主義革命は、理論上、都市部から起こるはずですが、中国の共産主義革命と言われるものは農村部から起こっています。食べられなくなった農民たちに食事を与えて共産党に味方させ、彼らの不満を利用して豪農や富裕層を襲わせて軍資金や食糧を得ました。食べられなくなった農民を集めていって周辺から中央を包囲していくという、数千年来、中国で王朝が交代するときに行われてきたのと同様の方法です。
毛沢東の時代にも、鄧小平を含む現実派と言われる指導者たちが、共産主義の考え方に囚われず、国民を豊かにしようとしました。鄧小平が実質的なトップになって以降、中国は改革開放路線をとり、実質的に市場経済を取り入れています。鄧小平氏の白猫黒猫論は有名です。白い猫でも黒い猫でもネズミを獲る猫が良い猫だ、というもので、共産主義だろうが資本主義だろうが国民を豊かにする方法が良い方法であるということです。
中国の行動を見るときに、マルクス主義や共産主義に囚われると、その意図を見誤ることもあると言えます。中国の目的は共産化ではなく国の発展なのです。そして、発展という国の目的は、中国共産党による中国の永遠の統治のためにあります。
世界の明日を左右する圧倒的に影響力のある政党です。時代を振り返り、仕組みを学ぶといろんなことが見えてきます。結党100年の節目に、学んでみてはいかがでしょうか。デザインすごくきれいに仕上げられてますので、ぜひご覧下さい。
今日、明日、あさってと結党100年を迎えた中国共産党・中国の行方を特集します。よろしくお願いします。
【訂正】朝9時ごろまでバイドゥ、テンセント創業者も党員という表記をしていましたが、誤りでした。訂正しておわびいたします。陳さん、ピックでのご指摘ありがとうございました。
特集「ゼロからわかる!中国共産党100年」記事
■1日目【完全解説】共産党が分かれば、世界の明日がわかる
https://newspicks.com/news/5960477/
◾︎2日目『【野嶋剛】なぜ中国は、どうしても台湾が欲しいのか』
https://newspicks.com/news/5965893/
■3日目【高口康太】中国経営者は「赤い」のか?
https://newspicks.com/news/5968837/
さて、NHKの時論公論が、習近平政権の本質について興味深い見方を提供しています。習近平氏の権力の源泉は「台湾統一」の看板にあるというものです。習近平氏と台湾のかかわりは36年前の1985年に始まるといいます。習氏はまず台湾とゆかりが深い、福建省アモイ市の副市長を3年間務めました。アモイは台湾交流の表の窓口です。そこから福建省や浙江省、台湾と向かい合う地域のトップを務めました、台湾には、中国大陸から嫁いできた女性がおよそ30万人いるといわれ、そのおよそ3分の2が、習近平氏が福建省や浙江省で仕事をしていた時期に大陸から台湾に渡ったといわれています。
台湾統一をできるのは、習近平氏だけであるーーそれゆえの権力だというのです。
参考になるので、ぜひ読んでみてください。
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/451364.html
この綱渡り感は今も継続中です。胡錦涛体制下での格差拡大、汚職への批判、ネット世論の拡大を習近平は抑え込みましたが、強力な体制を築いた副作用として今度はポスト習近平がまったく見えないという綱渡りが始まっています。
中国共産党の権力構造がとてもわかりやすくまとまってる。
やはりインフォグラフィックはいい。
中国共産党に集中する権力構造について、日本にいながら肌で理解するのは難しいですよね。
真山仁さんの『ベイジン』や遠藤誉さんの『チャイナ•ナイン』『チャイナ•セブン』あたりの書籍も、この辺を理解するにはおすすめです。(どれもちょっと古いので、差し引いて読む必要あるけど)
現在の体制でなければ、アメリカ、インドと同様、コロナが大流行してどのぐらいの犠牲を払うでしょうか。
中国人にとって共産党は非常に語りにくい存在です。
中国国内では、共産党の黒歴史を公に語ることはできなく、政府や共産党を批判することもできません。(許されない)
安泰的に統治してきた理由は、ある意味うまい仕組みを作ったからです。
共産党の統治を憲法に入れて正統化、党・政・軍の一体化、教育・メディアへの指導と意識統制、人口7%まで発展させたピラミット型の膨大な組織・・・など。
世界最強の政党と言っても過言ではないでしょう。
直近のコロナ対策、香港・ウィグル問題、近年の高速発展などの事例から、国家・集団の利益のために、個人の凡ゆる権益を犠牲してもかまわないとの中国式やり方がはっきり見えてきたかと思います。
それじゃ、個の権益を最大に尊重する西側陣営は中国に対抗できるのでしょうか?