[ワシントン 23日 ロイター] - イエレン米財務長官は23日、連邦政府の債務上限を早急に引き上げるか上限適用を停止するよう議会に要請した。また、このままでは8月中にも米国が債務不履行(デフォルト)に陥る深刻なリスクがあると警告した。

上院歳出小委員会での証言で「国債のデフォルトは考えられないことで、債務上限を引き上げなければ、経済に壊滅的な影響を及ぼすことになる」と指摘。金融市場の不確実性を回避するため、現行の上限適用停止措置が7月末に失効するまでに、財務省の借入継続を認める新たな債務上限法案を議会で可決すべきと訴えた。

財務省は過去に債務上限の問題に直面した際、連邦職員退職年金基金への拠出を停止するといった緊急の資金繰り措置を動員して財源を賄い、デフォルトを回避した。

イエレン氏は緊急の資金繰り措置をどれだけ長く実施できるか問われ、新型コロナウイルス救済の財政出動が政府歳出の流れを一段と不透明にしたと回答。財務省の緊急策は、議会が夏季休会入りする8月にも尽きる可能性があると述べた。

緊急策が尽きれば、財務省は税収のみで出費を賄う必要が生じ、その後も国債の新規発行ができない状態が続けば、やがて利払い費の手当てにも窮する。

イエレン氏は、法人税の国際最低税率導入について、来月開かれる20カ国・地域(G20)財務相会合で支持が得られるよう期待していると表明した。

主要7カ国(G7)は、各国共通の最低法人税率を15%以上に設定する米提案や、大規模かつ高収益の多国籍企業が事業を展開する国での新たな課税方法を支持しており、イエレン氏はG20会合でもG7と同様の合意がまとまるよう米財務省は取り組んでいると説明した。

ロイターが確認した共同声明草案によると、G20財務相は7月9─10日の会合で法人税の国際最低税率導入を支持し、10月に実行の枠組みを承認できるよう事務作業の完了を求める方針だ。

イエレン氏はまた、共和党議員によるインフレ懸念に関する追及に対し、最近のインフレ加速は供給制約など一過性の現象を反映しているとの見方を改めて示した。

大半のインフレ期待の指標は引き続き安定推移しており、1年以上先の期待インフレ値は米連邦準備理事会(FRB)の目標である2%近辺で安定していると指摘した。