[ロンドン 23日 ロイター] - 国際決済銀行(BIS)は23日、中央銀行デジタル通貨(CBDC)を全面的に支持する姿勢を示した。金融の現代化のためとともに、大手テクノロジー企業が通貨の支配権を握らないために必要であると述べた。

BISはデジタルのドルやユーロ、円、人民元などのCBDCのあるべき姿について勧告。年次報告書の発表を前に、商取引がオンラインに移行する中で、世界の約5分の1の人口に対応する、少なくとも56の中央銀行や金融当局がデジタル通貨を検討しているとの結果を公表した。

世界的に現金の利用が減り、ビットコインや米フェイスブックが導入を計画するディエム(旧リブラ)などのテクノロジー大手が、中銀の貨幣発行権に対する脅威となる中、BISがCBDCを支持する動きに出た。

BISのブノワ・クーレ氏は、テクノロジー大手はソーシャル・メディアの膨大なユーザー基盤を活用することができるため、CBDCがなくてはデジタル通貨がますますテクノロジー大手によって支配されてしまうと警告。「こうした状況にはなりたくない。政府もこうした状況を避けたい意向だ」とし、国家として通貨発行のコントロールを失うこととなるとした。

BISのヒュン・ソン・シン氏は、市民がCBDCを利用する場合、デジタルIDを必要とするか、取引の匿名性を維持するために多くの暗号通貨が導入するトークン方式にするかを当局が決めなければならないと述べた。

シン氏とクーレ氏は、ID制度の方がより良いとするBISの見解を述べた。一つの理由として、安全資産とされるドルなどのデジタル通貨を外国人が利用することを防げると説明した。