抗体カクテル併用療法、コロナ変異株に有効 動物実験=ワシントン大
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抗体カクテルとは、抗原(コロナウイルスの場合はスパイクたんぱく)に対し、結合する部位の異なる抗体を複数混ぜたもです。
コロナウイルスは、スパイクたんぱくを肺胞の上皮細胞に発現しているACE2というタンパク質に結合させることによって侵入します。
抗体が結合できるのは抗原の一部分のみなので、その部分の形状がウイルスの変異により変化してしまった場合は、抗体の中和効果が下がります。
ここで、スパイクたんぱくとACE2との結合に関わる複数の部位を抗体でブロックできれば、ウイルスの中和効果が高くなります。
したがって、抗体カクテルは効果が期待できるオプションといえます。
抗体カクテルの有効性については既に2020年のScience誌に出ていますが、今回の発表は、デルタ株への有効性を示唆するものです。
https://science.sciencemag.org/content/370/6520/1110/tab-pdf
注目のコメント
どうしてもタイトルと斜め読みで物事を解釈をすると、どんなレベルの記事でも、それがどんな質のエビデンスに基づいたものでも、「有効」と書かれていれば「有効」と文字通り多くの方が受け止めてしまうことを懸念しています。
自分の中での停止点をもつためのコツの一つとして、人間とは全く別ものの「動物実験」をわざわざ引き合いに出している記事を見た場合、裏を返せば「人間ではまだ何も分かっていない」と解釈して立ち止まる方法が考えられます。
もちろん、だからといって、動物実験に意味がないというわけではありません。一定の示唆を与えてくれる価値の高い研究です。しかし、人間でそれが真実とは限らないので、本当に有効かを確認するためには、人間レベルでの知見の蓄積が重要となります。トランプ大統領がコロナ感染した時も抗体カクテル併用療法をしていました。
抗体カクテル療法は、米国リジェネロン社により創製されました。日本では中外製薬が日本における開発権および今後の独占的販売権を取得しています。
● 開発中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する抗体カクテル療法(casirivimab/imdevimab)に関する日本政府との合意について
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20210510150000_1105.html
効果が高いかもしれませんが、治療費は高価です。ワクチンだけでなく、治療として広がって治療費が安くなっていくことを期待!英国の変異株「アルファ」
南アフリカの変異株「ベータ」
ブラジルの変異株「ガンマ」
インドと変異株「デルタ」
これからも新たな変異株と新ワクチンのイタチごっこ。
治療薬が早く普及してほしいところ。
〜メモ〜
併用療法
米リジェネロン・ファーマシューティカルズ製
米イーライリリー製治療薬
「ソトロビマブ」の単独療法
米ウィル・バイオテクノロジー
英グラクソ・スミスクライン(GSK)
米アッヴィ、ウィル
英アストラゼネカ
→現在臨床試験を行っている抗体など