[ワシントン 21日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)当局者2人は21日、テーパリング(量的緩和の縮小)を早めに進めれば、利上げを巡って一段と柔軟な対応が可能になるという考えを示した。

セントルイス地区連銀のブラード総裁は「連邦公開市場委員会(FOMC)に選択肢の幅を持たせることは非常に有効であり、将来の金利政策においてどの程度のシグナルを与えるかを考える上で、テーパリングを巡る議論の一部になる」と表明した。

足元の物価動向は振れが増しており、経済も拡大していることから、テーパリングを行う上で前回の金融危機後に策定した債券購入の枠組みは指針になり得ないと指摘。「現在は金融危機後のような静穏でボラティリティーが低い時ではなく、むしろボラティリティーは高く、様々なことが一度に起こる状況にあり、対応力が問われる」と語った。

その上で、FRBが資産買い入れをどのように調整するかという議論には、住宅ローン担保債(MBS)の買い入れを米国債とは異なるペースで削減するかやその開始時期、ペースの速さなどを決めることが含まれると言及。「今は自動操縦で進めることができる環境ではないと思う。マクロ経済指標は大幅に不安定で、2014年時よりも備えをやや強めテーパリング戦略に調整を加える必要がある」との考えを示した。

また、FRB当局者は金融政策を調整する前に許容可能なインフレ率の程度およびFRB目標値を超える期間を明確にする必要があるとし、「これは健全な議論だ」とした。

こうした中、ダラス地区連銀のカプラン総裁は、FRBの新たな戦略枠組みに債券購入に関する規定はなく、債券購入を「早めに抑える」ことで金利の議論に一層柔軟性を持たせることができるかもしれないと述べた。

FRB当局者らが利上げ時期の見通しを早めたことについては、昨年12月から今年6日にかけて経済見通しが急激に上向いたことに反応したものだと説明した。

昨年12月の時点では、新型コロナウイルスを巡る先行きの動向が依然として不透明だったが、「今年3月に入ると世界的大流行(パンデミック)が収束に向かっていることが明確になり、6月に至って見通しが大幅に上方修正された」と指摘。「金融当局者らは劇的に改善した経済見通しに単純に反応しているということだ」と話した。