[北京 21日 ロイター] - 中国南部・広東省で製造業の一大拠点になっている東莞市が21日、新型コロナウイルスの大規模検査を開始した。今回の流行で初の感染者が見つかった地域は封鎖されている。
広東省では国内で初めてデルタ株が流行の主流となっている。デルタ株はインドで初めて確認された変異株で、専門家によると、感染力が強い。
東莞市は、18日以降2人の感染が確認されたことを受けて、21日に市内全域で新型コロナ検査を開始。市外への不要不急の移動を控えるよう指示した。
市外に出る場合は、出発前の48時間以内に検査で陰性結果が出ることが条件となる。
他の都市に向かう高速道路の入り口が閉鎖されているほか、広州と深センの空港を結ぶシャトルバスも運行を停止。市内の一部の博物館や図書館も閉鎖されている。
ただ、工場の稼働は続いているという。
広東省では5月21日以降、感染者が168人に上っている。90%近くは省都・広州で確認された。
感染者数は相対的に少ないが、同省は旅行者や貨物の受け入れ拠点となっており、警戒を強めている。
広州では2日連続で感染者が報告されていないが、広東省全体では引き続き新規の感染者が報告されている。
<港湾の混雑>
中国で最も多く利用されるコンテナ港の1つである広東省深セン市の塩田国際コンテナターミナル(YICT)では、5月21日以降、厳しい消毒・検疫措置を実施。港湾の混雑につながっている。
海上貨物運賃を分析しているXeneta(オスロ)の代表は「スエズ運河の封鎖事故よりも影響は大きいだろう」とし、50隻の船舶が港外で入港待ちの状態となっており、160隻以上に影響が及んでいると指摘した。
「港湾の混雑緩和を待ち切れない輸出業者は、中国から欧州へのトラック輸送に切り替えている」という。通常の操業状態は6月末までに再開する見通し。
ただ海運大手のマースクによると、YICTの混雑が緩和しても、深センの蛇口港、広州の南沙港の混雑は続くとみられている。
<油断できず>
国内の専門家は、広州のデルタ株対策が、国内の他地域の警戒態勢強化を促す上で寄与すると指摘している。
中国国家衛生健康委員会の21日の発表によると、20日に中国本土で報告された新規感染者は17人で、前日の23人から減少した。
このうち1人は東莞市の患者。もう1人は外国からの渡航者だった。
無症状感染者は19人で、前日の20人から減少した。
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