【吉野彰氏特別講演】「とてつもない電池」はこう創る
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注目のコメント
なぜかpick漏れ。これは必読。
2009年、即ちノーベル賞受賞前の吉野先生の講演をまとめ直してくれたものです。現在の全固体ブームとはかけ離れた本質的な「とてつもない電池」の創り方を分かりやすくご講演頂いていたんですね。化学素材が集まった電池(セル)の、①素材と②構造と③周辺技術といった打ち手を挙げられています。
全固体電池が狙っているであろうところは、②のバイポーラ構造です。しかし今のSolid PowerやQuantumscapeのアプローチでは難しいと思います。ただしバイポーラ構造にして電極を積層する発想は正しく、吉野先生はレドックス・シャトル技術の必要性も2009年の講演で言及してました。
記事のネタバレになるので控えますが、先日NEDOの次期5カ年研究対象に決まったフッ化物イオン電池がこれに当たります。
●フッ化物シャトル電池(2016-2020のRISING2時)
http://www.rising.saci.kyoto-u.ac.jp/fsb/
私なりの言葉で置き換えてみますと、半導体のような計算回路であればソリッドステートにしても問題は発生しないでしょうが、多くの正極と負極を固体物質内に封止してしまうと高電圧にもなりますし、セルに分けて制御していたBMSとは違うパワエレの制御機構がセル内で求められます。そのためにはレドックス・シャトルが必要になるのですが、固体物質内で実現するのは難しい。
ですのでNEDOの次世代電池は、現在全固体電池と呼ばれる構造を継続して研究開発をすることなく、安価な亜鉛負極電池とレドックス・シャトルのフッ化物イオン電池の2つに注力するとしたんだと思います。固体電解質使うので、フッ化物イオン電池も全固体電池と呼んでも良いですが、そろそろ”全固体”呼称は止めた方が良いと思うので、SPAC屍となる2社を見届けた後は呼称を変えたいですね。
NEDO関係者に直接聞いてみたいところで、NPでインタビューして貰えると嬉しいですが、知り合い頼って聞いてみるかな。