近鉄HD社長、株主総会で陳謝 業績大幅に悪化「断腸の思い」
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近接グループHDに限らず、人口減少に伴う乗客数減少が経営上の課題であった鉄道関連各社が、コロナ禍で前倒し的にその課題解決に迫られている中、比較的堅調な不動産事業に頼る経営戦略が浮き彫りになっています。
不動産事業といっても居住用不動産一つひとつの売買事業ではなく、実質的に自らスポンサーとなって不動産ファンドを設立した上で、所有するビルやホテル等の不動産を当該不動産ファンドに譲渡し、一時的に数百億円の資金調達をしたり、当該不動産ファンド関連の物件管理手数料等を安定して得る事業です。
今や日本の大規模不動産業界は、日本より約40年前にREITが始まった米国の後追い的に、中長期にわたる安定した利益と一時的な多額のキャピタルゲイン(転売利益)をもたらすことが可能な数少ない業界の一つです。
例えば近鉄グループHDは日本政策投資銀行と共同でファンドを設立し、所有する東京千代田区の「近鉄霞が関ビル」等を(将来的な買い戻しも視野に入れつつ)設立したファンドに売却し、約400億円の資金調達を予定しています。
加えて、ご存知ブラックストーングループ関連のシンガポール法人と共同出資で設立する特定目的会社等に所有ホテルを譲渡し、運営は組織変更した上で引き続き近鉄グループが受託するとのことです(譲渡価格は600億円規模との報道あり)。
https://www.kintetsu-g-hd.co.jp/common-hd/data/pdf/20210302-re20210303195316147688193.pdf
https://www.kintetsu-g-hd.co.jp/common-hd/data/pdf/20210325-kghd20210325134316166473884.pdf
鉄道各社は、他社が羨む好立地不動産を数多く所有している可能性がありますので、決して派手ではないものの、(海外不動産を超高額で購入しなければ)不動産ファンド事業に力を入れることは、経営状態を安定化させることに繋がると思います。