[東京 18日 ロイター] - 6月のロイター企業調査によると、回答企業の9割では現時点での女性役員の比率は10%未満にとどまっており、2030年に30%以上とする経団連の目標を「達成できない」と見込む企業は8割を超えた。一方、女性役員の比率が現在25%を超えている企業はなかった。女性の社会活躍が叫ばれて久しいが、女性が役員や管理職に就くには依然として困難な状況がうかがえる。

調査期間は6月3日から14日まで。発送社数は481社、回答社数は235社程度だった。

経団連は昨年11月にポストコロナ時代を見据えた「新成長戦略」を公表し、2030年までに役員に占める女性比率を30%以上にすることを目標に掲げた。

今回の調査で現在の役員の女性比率について聞いたところ、「10%未満」との回答が89%、「10─15%」が6%、「15─20%」と「20─25%」がそれぞれ2%だった。「25─30%」、「30%超」と回答した企業はゼロだった。

管理職の女性比率についても、8割超の企業が「10%未満」と答えた。

経団連の目標を達成できないとした86%のうち、半数近くの47%が「そもそも女性が少ない」と回答。業種によっては女性の入社希望者が少ないこともあり、採用促進への必要性を指摘する企業もあった。次に多かったのは「努力はするが一律的な目標は疑問がある」で26%、「目標のハードルが高すぎる」は20%だった。

今後、女性の役員比率を高めていくにあたっての課題については「女性特有の出産などライフイベントとキャリアパスとの整合性をいかにとっていくか」 (金属製品)や、「出産などで不利にならない、負担にならない制度の充実で長期雇用できるようにする」(情報サービス)といった、ライフステージを考慮する必要性を指摘する声があった。

また「男女とも同じように仕事を無理なく進めていける勤務体制を整備する」(機械:重工メーカー)、「全社的な意識改革が必要」(輸送用機器)、「人材育成を含めた人事政策の検討」(運輸)など、企業全体の働き方や意識改革、教育の重要性を挙げる企業もあった。

一方、「肉体労働の要素が高く、そもそも女性向きの職場でない。業態に即した目標を設定するべき」(食品)や、「働き方改革と平行して目標が設定されるべき」(輸送用機器)といった、目標の柔軟化などを求めるコメントもあった。

(金子かおり グラフィック作成:照井裕子 編集:田中志保)