[ワシントン 17日 ロイター] - 米道路交通安全局(NHTSA)は17日、米電気自動車(EV)大手テスラの先進運転支援システム使用が疑われる事故について、30件の調査をこれまでに開始したことを明らかにした。2016年以降に発生したこれらの事故では10人が死亡したという。

特別事故調査プログラムの下で調査中の衝突事故について、詳細を記したリストを公表した。

NHTSAはこれまで、一部テスラ車の事故調査について明らかにしていたが、同社の運転支援システム「オートパイロット」との関連が疑われる事故についてNHTSAが調査している全案件の詳細はロイターに対して開示していなかった。

30件の事故のうち3件について、NHTSAはオートパイロットの関連を排除し、うち2件について報告書を既に公表している。

テスラは現時点でコメントの要請に応じていない。

NHTSAは以前、テスラ車について28件の特別事故調査に着手し、うち24件は調査を継続中としていた。NHTSAのリストには、オートパイロットの使用が不明の19年2月の事故も含まれている。

調査担当者らはこれまでに、16年以降の死亡事故では少なくとも3台のテスラ車でオートパイロットが作動していたと述べている。

NHTSAのリストによると、同局は今年3月以降、テスラ車の事故について新たに8件の調査を開始した。

テスラ車を巡っては、4月にテキサス州で起きた事故で2人が死亡し、地元警察が運転席が無人だったとの見解を示したことを受け、運転支援システムの安全性に再び注目が集まった。

運輸安全委員会(NTSB)は5月、この事故について、オートパイロットの構成要素である自動操舵(そうだ)機能が使えない状態だったとの調査結果を発表した。

上院商業委員会は16日、自動運転車の早期普及に向けた規制緩和案を否決した。マリア・キャントウェル委員長(民主党)は否決の理由にテスラ車の衝突事故を挙げ、「オートパイロットが作動中の自動車が衝突したと2週間に1度は耳にしている気がする」と述べた。

NHTSAはテスラ車以外の運転支援システムに絡む衝突事故6件の調査を開始したことも明らかにした。「キャデラック」の事故が2件、12年型「レクサス RX450H」と仏ナビヤの17年型「ナビヤ・アルマ」が関係する2件が含まれたが、いずれも負傷者は報告されていない。

残る2件は17年型「ボルボ XC90」が絡んでおり、米ウーバー・テクノロジーズによる自動運転車の公道試験で使われ、アリゾナ州で女性をはねて死亡させた18年の事故が含まれる。