[ベルリン 17日 ロイター] - 欧州医薬品庁(EMA)は17日、新型コロナウイルスワクチンについて、臨床試験(治験)で少なくとも50%の有効率が確認されることを要件としないと表明した。

独キュアバックは16日、同社が開発する新型コロナワクチンについて、後期治験で有効性が47%と判明し、主要目標に達しなかったと発表した。

EMAのワクチン評価チーム責任者マルコ・カバレリ氏は記者団に対し「全ての治験データを収集し、地域や年齢層のほか、変異株についても、結果を詳細に分析する必要がある」と述べた。

米食品医薬品局(FDA)は新型コロナワクチンの承認には少なくとも50%の有効率が示される必要があるとしているが、EMAは昨年11月、有効率の最低ラインは設けないと表明していた。

キュアバックが開発するワクチンは、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発したワクチン、および米モデルナ製ワクチンと同様に「メッセンジャーRNA(mRNA)」技術を使うもの。ファイザー製とモデルナ製の有効率が90%を超えているのに対し、見劣りした。

キュアバックの治験責任者で、チュービンゲン大学付属病院のピーター・クレムスナー氏はロイターに対し、mRNAの容量を低水準に抑えていることが要因だった可能性があると見方を示した。

クレムスナー氏によると、ファイザー・ビオンテックとモデルナとは異なり、キュアバックはmRNAを加工しないままワクチンに使用しており、副反応が起きる可能性があるため、容量を増やすことができない。

1回の接種容量当たりのmRNAはファイザー・ビオンテック製が30マイクログラム、モデルナ製が100マイクログラムなのに対し、キュアバック製は12マイクログラム。キュアバックは低用量のワクチン開発を目指しているが、今回の結果で全てのmRNAワクチンが同じでないことが浮き彫りになった。