[フランクフルト 15日 ロイター] - ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)のトーマス・シュマル取締役(技術担当)は15日、ロイターに対し、電気自動車(EV)電池の生産に必要な原材料の直接入手を確実にするため、複数の供給業者と提携の協議をしていると語った。

半導体やリチウムなどのサプライチェーンへの支配力を強め、主要部品を確保していく狙い。今後の供給制約を乗り越え、自動車生産のフル操業を続けられるようにする。リチウム生産業者との供給提携で先駆けている米テスラやドイツのBMWといった競合他社に追い付くことも目指す。

シュマル氏は「われわれは全員、競争の最中にある。最も手頃な電池を作る競争であり、この生産規模は拡大しなければならない」と述べた。グラファイト(黒鉛)やコバルト、ニッケルなどのEV電池原材料の供給を直接にコンロトールすることが、コスト抑制の上でも不可欠だと指摘。「電池のコストの80%は原材料が左右する」と語った。

シュマル氏は提携の可能性のある供給業者の名前は具体的に明かさなかったが、VWの目標は複雑なサプライチェーンを押さえていくため、少数の大手業者と組むことだと表明した。

リチウム市場は米アルベマール、中国の天斉リチウム、チリのソシエダード・キミカ・イ・ミネラといった鉱山会社が牛耳っている。

消息筋2人によると、VWは、電池原材料の供給で世界有数のドイツ化学大手BASFとの提携関係強化も模索している。両社は昨年、ドイツのダイムラーなどと一緒に、世界の現在のリチウム供給の4分の1を担うチリのアタカマ塩湖の開発案件で提携している。

シュマル氏によると、ドイツのニーダーザクセン州ザルツギッターで計画している電池工場の提携先選定にも近づいており、数か月内に詳細を発表したい意向。同社は既に、欧州各地で提携企業と組んでEV電池6工場を2030年までに建設する計画を発表している。