[マニラ 16日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は、フィリピンの2021年経済成長率予測を従来の6.9%から5.4%に下方修正した。IMF調査団の代表は一方、22年について、新型コロナウイルス対策の規制が想定より早期に緩和されれば、急回復が見込めると述べた。

調査団を率いるトーマス・ヘルブリング氏は16日、記者会見で、3月以降の新型コロナ感染者の急増を受けて厳格な行動規制が再び導入されたため、上期の景気回復が遅れた可能性があると指摘した。

22年の経済成長率予測は7.0%とし、従来の6.5%から引き上げた。ただ、コロナの感染が再び拡大したりワクチン接種が遅れる場合は予想から下振れるリスクがあると説明した。

フィリピンのコロナ感染者の累計は130万人を突破し、死者は2万3000人近くに達している。

20年の同国成長率はマイナス9.6%と過去最大の落ち込みを記録。第1・四半期の成長率もマイナス4.2%と、予想以上に縮小した。フィリピン政府の21年の成長率目標は6.0─7.0%。

感染者の伸びはピークを越え、首都圏ではコロナ規制の緩和が進んでいるが、地方ではなお、感染者が急増している。

ヘルブリング氏は、景気回復を後押しするため、緩和的な金融政策の継続と政府による財政安定の維持、信用の伸び促進が必要だとの認識を示した。