2021/6/17

【解説】日本の半導体復活は「ソニー」にかかっている?

NewsPicks 記者
ソニーは、日本のハイテク産業復活の牽引役となれるのか──。
5月末、ソニーグループが、政府が進める国産半導体構想の下、新たに半導体工場の立ち上げを検討していることが明らかになった。
世の中では、巣ごもり生活によるIT機器の需要に始まり、ビットコインブーム、5G通信の普及などによって高性能な半導体の重要性が増している。
ところが、生産が間に合わず、パソコンやゲーム機、自動車などの供給に支障をきたしている。加えて、米中対立という地政学的なリスクによって、半導体が調達できない懸念も生まれている。
こうした状況を受け、日本政府には国内で半導体の生産を強化し、安定確保しようという構想がある。
そこで白羽の矢が立ったのが、ソニーだ。半導体業界で世界トップの一角、台湾のTSMCと連合を組んで工場を建設するとの観測が浮上している。
ソニーは今、エンターテインメント分野が絶好調。なぜ今、ハイテク分野の半導体に飛び込むのか。
世界の半導体事情の最新トレンドを踏まえつつ、ソニーのポテンシャルと課題を解説する。
INDEX
  • 半導体は「日本に重要」
  • 日本の「ミッシングパーツ」
  • ソニーだけが頼り?
  • ソニー半導体「2つの課題」

半導体は「日本に重要」

ソニーが半導体構想に前向きに検討しているとの観測が広がったのは、5月末。
政府の半導体成長戦略の下、ソニーとTSMCが共同で、熊本県内に半導体の新工場を建てるという報道が出た。
そんな中、同時期に開催されたソニーの経営方針説明会で、この報道について吉田憲一郎CEOが回答する場面があった。
「記事へのコメントを避ける」と前置きしながらも、以下のように話を続けた。
当社は「ロジック半導体」を自社でも生産していますが、かなりの部分を外部調達しています。そのため、当社にとってロジック半導体を安定的に調達することは大事なことです。
また、一般論として、ロジック半導体を含めた半導体の安定調達は、日本の国際競争力を維持するためにも大事なことだと思っています
吉田CEO(GettyImages)
続いて6月上旬に開いた半導体事業の記者説明会でも、新工場にまつわる質疑応答があった。
出席した清水照士上席事業役員兼ソニーセミコンダクタソリューションズCEOも、一般論と前置きをしたうえで、工場新設は「調達の安定化と国際競争力の面から、とても価値のあること」という認識を示した。
ただし、「国からの資金的なサポート」と「他社からの技術支援」がないとビジネスとして厳しいとも指摘した。
とはいえ、こうした一歩踏み込んだ発言に、ソニーの「前向きさ」がにじみ出ている。

日本の「ミッシングパーツ」

今回、吉田CEOが言及したロジック半導体の重要性を正しく理解するために、世界の動向を整理しておこう。