[ベルリン 15日 ロイター] - ドイツ産業連盟(BDI)は15日、外国が中国を制裁した場合に報復する「反外国制裁法」を中国が可決したことを批判し、海外の投資家や企業の間に懸念が広がっているとの認識を示した。

中国はドイツにとって、欧州連合(EU)域外で最も重要な輸出市場だが、人権問題や香港の取り締まり強化が、政治・経済関係の重しとなっている。

中国は先週、同法を可決。対中制裁に対する報復を合法化する狙いがあるとみられている。

BDIの幹部は「中国政府は、緊張緩和を頼りにするのではなく、新たな不透明要因を生み出している。これは投資先・貿易相手国としての中国の評判に悪影響を及ぼす」と批判。

その上で、EUにも同様の法律はあるが、中国の法律は法的な明確性に問題があり、中国で事業を行うすべての企業に関わってくるグレーゾーンが存在すると述べた。

ドイツの政府高官や企業トップからは、中国への依存度を減らすため、他のアジア諸国との貿易を拡大すべきだとの声が出ている。

同幹部は、中国政府が欧州議会議員などに制裁を科したため、EU中国投資協定の批准手続きがすでに止まっていると指摘。

「中国政府は、脅しで対応するのではなく、貿易相手国との対話でもっと建設的な要素を持ち込むべきだ」と述べた。