[東京 15日 ロイター] - みずほフィナンシャルグループは15日、傘下のみずほ銀行で相次いで発生したシステム障害を受け、危機管理担当役員の設置や組織内での階層の簡素化などの再発防止策を発表した。同日会見した坂井辰史社長は「実効性・持続性を確保するために、一時的なルールや精神論的な総括だけでは不十分」と述べ、「日々の業務運営を通じて、グループの運営に定着することが何よりも重要」との認識を示した。

坂井社長は、一連のシステム障害について「経営の責任。組織全体は経営でしかコントロールできない」と述べ、社長本人が一番重く受け止めるべきと説明。再発防止への取り組みに対しては、経営陣が目指すものが何かを明確に示し、組織全体が目的意識を持つ必要があるとした。

みずほ銀では、2月下旬から約2週間の間に4件のシステム障害が発生。みずほFGは、原因の究明や再発防止策などの策定を行うため、外部の識者・専門家で構成される第三者委員会を設置した。

みずほFGが同日公表した第三者委員による調査報告書は、システム障害とその後の対応について、「組織としての危機対応力の弱さが顕著に表れた」と指摘。ITシステム統制力や顧客目線にも弱さがあるとし、容易に改善されない体質・企業風土を再発防止の基本的な課題として認識すべきとした。

坂井社長は、調査報告書について「今後の取り組みに当たり、重要な指針として踏まえていくべきもの。システム障害を繰り返す問いへの答にもなるもの」と述べた。指摘されている企業風土に関しては、「簡単には変わらない。結果として醸成されるもの」と述べ、改善していくうえで「ルールや責任範囲を超えた組織的行動力のさらなる強化に取り組む必要がある」とした。

みずほFGは今後、システム障害対応検証委員会を設置し、再発防止策の進捗確認を行う。

みずほFGは同日、坂井社長やみずほ銀の藤原弘治頭取など11人の役員報酬を減額すると発表した。一部メディアによる経営陣の辞任に関する報道について、坂井社長は「決定した事実はない」とした上で、再発防止策を立ち上げる中で必要な人事を行っていくと述べた。