[ブラジリア 14日 ロイター] - ブラジルのボルソナロ大統領は14日、米製薬大手ファイザーに対し、新型コロナウイルスワクチンを前倒しで納入するよう要請した。

政府筋が明らかにした。遅れているワクチン接種のペースを上げることが狙い。

ワクチン接種の遅れについて調査している上院委員会での証言によると、同大統領は昨年、ファイザーからのワクチン提供の申し出を無視していた。

ブラジルは世界で2番目に新型コロナによる死者が多い。

大統領府によると、同大統領は保健相や外相などと、ファイザーのブラジル部門、中南米部門のトップと電話会議を開催。政府筋によると、第4・四半期に納入予定のワクチンを6月に納入することは可能かを尋ねた。

ファイザーのブラジル部門はコメントを控えている。

同国では新型コロナによる死者が50万人近くに達しているが、1回目のワクチンを接種した人は人口の10.3%、ワクチン接種を完了した人は25%にとどまっている。

同国では主に、中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)が開発したワクチンと、英アストラゼネカが開発したワクチンを利用している。

同大統領は、ワクチンに懐疑的な見方を示し、ロックダウン(都市封鎖)や社会的距離戦略にも反対。効果が実証されていない抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」の利用を推奨している。

政府は、ワクチン接種の遅れを巡って上院委員会の調査を受けている。ファイザーは昨年、同国に新型コロナウイルスワクチンの販売を持ち掛けたが、返事は全くなかったという。

ブラジルは3月、ファイザーから1億回分のワクチンを購入する契約を締結。5月には追加で1億回分のワクチンを第4・四半期に受け取る契約を交わした。