[東京 14日 ロイター] - 金融庁の氷見野良三長官は14日、米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントをめぐる巨額損失問題について、リーマン危機以降にさまざまな規制改革を進めたにもかかわらず、リスク管理の基本のようなことで大規模な損失事例が発生し、大変残念だと述べた。

金融システム不安には発展しなかったものの、教訓の洗い出しが必要だとの認識を示した。

時事通信社が開催した金融懇話会で講演後、質問に応えた。氷見野長官はアルケゴス問題について、プライムブローカーのリスク管理、ファミリーオフィスの透明性や規制のあり方、デリバティブ市場の改革余地の3つの論点を指摘。自身が議長を務める金融安定理事会の規制監督常設委員会でも議論は始めているが、まだ関係各国の当局で事実関係の究明をしている段階だと述べた。

氷見野長官は、地域経済がコロナ後の成長に向かうには地域金融機関の役割が重要で、地域金融機関が強い経営基盤を持っていることが必要だと指摘。経営基盤強化のため、地域金融機関の再編も「有力な選択肢の1つだ」と述べた。

日銀の特別当座預金制度、金融庁が打ち出した資金交付制度、地銀統合時の独占禁止法の適用除外がいずれも時限措置であることを挙げ、「収益の拡大策であれ、コストカットであれ、統合再編であれ、時間軸を意識して腹を決めて取り組んでほしいというのは3つの制度に共通しているのではないか」と語った。