2021/6/15

【秘話】IPOを民主化しよう

編集者
IPOをしなくても、上場できる時代──。
過去10年、プライベートなビジネスの世界では、新しい資金調達の手法が数多く生まれ、調達環境は劇的に変化してきた。
翻って、上場企業というパブリックな世界はどうか。米スポティファイを上場させたバリー・マッカーシーCFO(当時)は、「IPOのプロセスは、インテルが上場した1971年からほぼ変わっていない」と断じている
スポティファイがIPOの代わりに「直接上場」(ダイレクト・リスティング)という上場手段を選んだのは、2018年のことだった。すでにこのときから、IPOシーンの破壊は始まっていたともいえる。
ただ、これはあくまで限られた超優良企業だけが取れる選択肢でもあった。なにしろ直接上場の場合、証券会社を介さず、自ら投資家たちとのパイプをもって交渉していく必要があるのだ。
では、2020年に空前のブームとなった、SPACはどうか。
「SPACは、いわば金融の再発明であり、民主化なのです」
そう述べるのは、世界で最も“有名”なSPACの一つ、「フォレスト・ロード・アクイジション」の共同創業者の一人だ。
通称「シャックSPAC」と呼ばれるこのSPACは、あの伝説のNBAスター、シャキール・オニールが参画していることから、その名がついたという。
シャックだけではない。キング牧師の長男マーティン・ルーサー・キング3世、元ディズニーCFOのトーマス・スタッグス、そして米TikTok元CEOのケビン・メイヤーまでもが集結したSPACとあって、まさにセレブSPACそのものなのだ。
NewsPicks編集部は、そんなセレブSPACでチーフ・インベストメント・オフィサー(CIO)を務める、ジェレミー・タリカ氏の独占インタビューに成功した。
SPACの創業者たちが表舞台に登場することは滅多にない。セレブSPACとなれば、メディアに批判されがちだからなおさらだ。
彼らはなぜSPACを立ち上げたのか。その可能性を信じているのか。「本当の理由」を語る、貴重なインタビューになっているはずだ。
INDEX
  • セレブSPAC誕生秘話
  • ウォール街vsシリコンバレー
  • フィットネス界のNetflix
  • 投資銀行は、使っていない
  • SPACについて分かってきたこと
  • パンデミックが解いた封印
  • SPACは進化する