2021/6/13

【核心】それぞれの東京五輪。アスリートが語りづらい「本音」

スポーツライター
INDEX
  • 動き出した東京五輪
  • 競技によって違うアスリートの声
  • 五輪はアスリートの人生を変える
  • IOCは収入を何に使うのか
  • 五輪を永続させるための「判断」

動き出した東京五輪

東京五輪「完全実施の段階に」──。
IOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長が6月10日、同理事会後の記者会見で行った発言を受け、「日テレNEWS24」はそう見出しを打った。
バッハ会長は「in a full delivery phase」と発言したが、「完全実施」が観客の有無を含むのかなど、具体的に何を意味するかは明らかではない(※1 英文は「NHK-WORLD JAPAN」参照)。
会見でトップの発言を補足したクリストフ・デュビ五輪統括部長は、日本で行われたプレ大会やスポーツイベント(国際大会を含む)が成功しており、東京五輪は「史上最も準備が整った大会」というバッハ会長の5月(※2)の発言を改めて強調。
リオ五輪で談笑する、デュビ五輪統括部長(左端)とトーマス・バッハ(真ん中右)。
さらに、新型コロナウイルス対策のガイドライン「プレイブック」の最終版が6月14日の週に発行され、4月28日の第2版からさらなる詳細が明記されることを明らかにした。
このニュースが伝えられた日本時間6月11日朝、旧来的な方法でも“開催通知”がなされている。
7月24、25日に自転車ロードレース競技の会場となる東京都調布市で、新聞朝刊の折込チラシで「交通規制のお知らせ」が配られたのだ。三鷹市や府中市、小金井市も含むコース周辺の地元住民に、両日は「車でのお出かけはご遠慮ください」と理解と協力を求めた。
また同日には、武田良太総務相がこうも発表している。
「東京オリンピック・パラリンピック競技大会を安全安心な大会とするため、7月19日から9月5日までテレワークの集中的な実施を呼びかける、テレワーク・デイズ2021を行います」
本番への「ゴーサイン」を暗に示す動きは、数日前にも見られている。アメリカ国内の五輪放映権を持つテレビネットワーク企業「NBC」が6月7日、テレビと動画サービスで計7000時間の放送を東京大会で行うと発表したのだ。
「ある意味、IOCにとって“スポンサー”ですからね」
IOCとNBCの関係について、東京オリンピック・パラリンピック(以下東京2020大会)の組織委員会関係者がそう説明していたことがある。