「やりたいんや」パナソニック津賀社長が懸けた巨額買収
日本経済新聞
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(以下抜粋)
実はBY社の既存株主である米ファンド2社は71億ドルよりもさらに高い額での売却を模索していた。米証券取引委員会(SEC)に資料を提出し、新規株式公開(IPO)を検討。ファンドが示した金額はパナソニックの想定を大きく上回った。その差を埋めるべく動いたのは、BY社最高経営責任者(CEO)のギリッシュ・リッシだった。
「パナソニックとの統合が最善策だ」。3月半ばの米ニューヨーク。ギリッシュはファンド幹部を相手に直訴した。3週間ほど前、ギリッシュは原田に「私の責任で(買収額を)引き下げさせる」と電話で伝えた。ファンドとパナソニックの間に立ち、橋渡しを買って出た。
ギリッシュは米モトローラの幹部などを務めた経験を買われ、BY社の前身となるソフト企業のトップに招かれた。センサーなどデータ取得に欠かせない機器を持つパナソニックと組めば、ライバル企業との競争に有利に働くと信じた。インドで過ごした幼少期、父が買ってくれたパナソニックの家電に憧れた過去もある。
「ギリッシュなしではこのディールはなかった」。樋口は感謝の言葉を口にする。ある幹部は「買収できなければ、樋口もどうなったかわからない」ともらす。17年にパナソニックに復帰した樋口にとっても失敗できないディールだった。